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毎小編集長の太田阿利佐が執筆するコラムです。読者や保護者と一緒にお茶をいただいているつもりで、おしゃべりします。

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マスクについて/2 「ダメ」と言う前に

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首と舌をグーンと伸ばし、葉を食べるキリン=休園中の大阪・天王寺動物園で4月23日
首と舌をグーンと伸ばし、葉を食べるキリン=休園中の大阪・天王寺動物園で4月23日

 先週せんしゅうつづき、静岡県しずおかけん福祉施設ふくししせつ支援しえんいんをしている福島ふくしまはるかさん(24)の手紙てがみ紹介しょうかいします。

   ◇◆  ◆◇

 福島ふくしまさんがはたらいているのは、障害しょうがいしょう中学生ちゅうがくせい高校生こうこうせい放課後ほうかごごす施設しせつです。からだうごかせないや、からだうごかせるけれどもひと会話かいわができなかったり、言葉ことば理解りかいするのがむずかしかったりするがいます。

 「施設しせつかよってくるどものおおくはマスクが苦手にがてです」「障害しょうがいのあるがいる家族かぞくにとって、今回こんかい休校きゅうこう措置そちは、健常けんじょうどものおたくより、ずっとずっと大変たいへん問題もんだいでした」といていました。

 くわしくきたくて、電話でんわをしてみました。福島ふくしまさんはとてもやさしい、あたたかいこえぬしでした。

 「うごくのもむずかしいような障害しょうがいがあるおさんは、あごのちからよわくて、よだれがることがおおいんです。そうするとマスクがぬれてしまって、つけているとすごく不快ふかいなのだとおもいます」「また、発達障害はったつしょうがいのう発達はったつ特別とくべつ)のなかには、触覚しょっかく過敏かびんもいて、マスクをつけるのがつらいようです」と、おしえてくれました。

 触覚しょっかく過敏かびんとは、かすかにからださわられても、いたいとかんじてしまうなどの感覚かんかく異常いじょうです。かんかたつよさはひとそれぞれですが、たとえばちょっとチクチクするセーターが、はりのようにいたくてられない場合ばあいもあるそうです。わたし全然ぜんぜんりませんでした。

 そもそも言葉ことば理解りかいするのもむずかしいには、新型しんがたコロナウイルスのことも、なぜマスクをつけないといけないかもかりません。だからそととき、マスクをとってしまったりするのです。

 マスクなしのひとかけたらつい「ダメだよ」とおこってしまいそうですが、いろんな事情じじょうひとがいるんですね。

 福島ふくしまさんは、マスクができない散歩さんぽしたときなどに、ややかな視線しせんかんじたことがあるそうです。「親御おやごさんやきょうだいなど家族かぞくにとっては、いつしかられるかとハラハラの連続れんぞくだとおもいます」

 みなさんも、新型しんがたコロナウイルスのためにさまざまなこと--たとえば、学校がっこうならごとにいけなくなったり、おかあさんやおとうさんがすごくいそがしくなってしまったりなど--にえているはずです。それとおなじように、障害しょうがいどもたちも、その家族かぞくも、それをささえるひとたちもいろいろなものにえています。

 そのことをわすれないでいたいな、とおもいます。

 新型しんがたコロナにかい、「がんばっている障害者しょうがいしゃ福祉施設ふくししせつ職員しょくいんがいることをしっかりつたえたかった」と福島ふくしまさん。なんだかこちらがはげまされました。お手紙てがみ本当ほんとうにありがとうございました。【編集長へんしゅうちょう太田阿利佐おおたありさ

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