球磨川がはんらんし、浸水した熊本県人吉市の街なみ=4日午前
九州南部は4日、記録的な大雨に見舞われました。梅雨前線の影響です。気象庁はこの日午前4時50分、熊本県と鹿児島県に大雨特別警報を出しました。大雨特別警報が出るのは昨年10月の台風19号以来です。
気象庁によると、4日午前9時の時点で熊本県の天草・芦北地方、球磨地方、八代市と、鹿児島県の出水・伊佐地方が特別警報の対象になりました。大雨の原因は、停滞していた梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定になったことだといいます。
13人が行方不明に
熊本県では県南部を中心に土砂崩れや住宅への浸水が相次ぎ、球磨川の流域でははんらんが確認されました。熊本県によると、4日午前10時の時点で、芦北町と津奈木町で少なくとも合計13人が行方不明になっています。芦北町や津奈木町の消防や警察には、4日の早朝から「家が土砂崩れで流された」「住民が生き埋めになっている」などの通報が次々に寄せられました。熊本県と鹿児島県では一時、計10市町村の約3万5700世帯、約7万6600人に避難指示が出されました。
熊本県人吉市の旅館では、午前7時ごろから近くを流れる球磨川がはんらんし、あっという間に旅館の2階まで濁流が流れ込みました。家族と一緒に屋根の上に避難したという旅館の女性(58)は「あたりは一面泥水で、消防に電話しても救助に来られないようだ。水流が強く、近くの小屋が音を立てて壊れて流れている」と声を震わせました。