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号外新型コロナ、国内の死者5000人に
中満泉さんから「地球を変えるあなたへ」

(14) 原爆から75年 未来をひらく記憶

平和を願ってともされたキャンドルを見つめる子どもたち=長崎市で2020年8月8日

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未来みらいをひらく記憶きおく

 今年ことし広島ひろしま長崎ながさき原爆げんばく投下とうかされて75ねん大切たいせつ節目ふしめとしです。国連こくれんからはグテレス事務総長じむそうちょう広島ひろしまでの式典しきてん参加さんかする予定よていでした。しかし新型しんがたコロナウイルスのパンデミック(世界せかいてきだい流行りゅうこう)による入国にゅうこく制限せいげんのため、断念だんねんしなければなりませんでした。75ねん重要じゅうよう式典しきてんに、75ねんまえ設立せつりつ以来いらい一貫いっかんして核兵器かくへいき廃絶はいぜつ重要じゅうよう課題かだいとしてかかげてきた国連こくれんからだれ出席しゅっせきしないわけにはいきません。わたしは、アメリカをまえにPCR検査けんさけて陰性いんせい確認かくにんし、さらに入国にゅうこく週間しゅうかん自主じしゅ隔離かくりをしたあと広島ひろしま長崎ながさきでの式典しきてん事務総長じむそうちょう代理だいりとして参列さんれつしました。ひさしぶりに、やく1かげつ日本にっぽん滞在たいざいすることになりました。

 日本にっぽんにとっては終戦しゅうせん75ねんでもあり、おおくの特別番組とくべつばんぐみ放送ほうそうされていて、わたしることができました。たとえば、印象いんしょうてきないくつかのドラマや、高校生こうこうせい戦争せんそうについてかた番組ばんぐみ女優じょゆう綾瀬あやせはるかさんが戦争せんそう体験たいけんしゃからはなし番組ばんぐみ、そしてだい世界大戦せかいたいせんちゅうのヨーロッパでこった、ナチス・ドイツによるユダヤじん虐殺ぎゃくさつ(ホロコースト)についてのドキュメンタリー番組ばんぐみなど。私自身わたしじしんも、今年ことし広島ひろしま長崎ながさき被爆ひばくしゃ方々かたがただけでなく、おおくの若者わかものたちとい、被爆ひばく体験たいけん継承けいしょう軍縮ぐんしゅく平和へいわ問題もんだいについてかた機会きかいがありました。実家じっか自主じしゅ隔離かくり期間中きかんちゅうには、はは手伝てつだっていえ片付かたづけをしていて、戦前せんぜんからのふる家族かぞく写真しゃしんがたくさんてきました。家族かぞく日本にっぽん、そして世界せかいの「歴史れきし」と「記憶きおく」についてかんがえ、わたしたちはどこからたのか、そしてどこにくのかをかんがえるなつになりました。

「アンネの日記にっき

 わたし人生じんせいつよ影響えいきょうけたほんに、小学生しょうがくせいのころにんだ「アンネの日記にっき」があります。アンネというユダヤじん少女しょうじょかくでの困難こんなんながらもきとした日常にちじょうが、ホロコーストという人類史じんるいしじょうもっとおそろしい犯罪はんざいについてふかかんがえさせてくれたからです。広島ひろしま長崎ながさき被爆者ひばくしゃたちは、それぞれのつらい体験たいけんかたることによって、核兵器禁止条約かくへいききんしじょうやくをつくるおおきな原動力げんどうりょくとなりました。わたしたちが「歴史れきし」を勉強べんきょうするとき、戦争せんそう犠牲者ぎせいしゃが「なんまんにんなんじゅうまんにん」といても、もしかするとこころにはのこらないかもしれません。でも、一人一人ひとりひとり名前なまえかおとストーリーをるとき、それらはこころのこり、わたしたちのかんがかた人生じんせい影響えいきょうのこすとおもいます。そして、過去かこ教訓きょうくん自分じぶんのものとしてかんがえ、より現在げんざい未来みらいのためにかそう、というつよ動機どうきになるのでしょう。つまり、歴史れきし過去かこ記憶きおくは、わたしたちの未来みらいにつながっているのです。

平和へいわをつくるには

 国連こくれんわたし担当たんとうする軍縮ぐんしゅく分野ぶんやには、平均へいきん年齢ねんれいが83さいえた被爆者ひばくしゃ方々かたがた体験たいけんをどう継承けいしょうしていくのか、という課題かだいがあります。今回こんかい広島ひろしま長崎ながさきでいろいろな方法ほうほうで、これにわかひとたちにうことができ、とても勇気ゆうきづけられました。たとえば被爆者ひばくしゃの「継承けいしょうしゃ」になって体験たいけんかた活動かつどうをしているひと世界中せかいじゅうから広島ひろしま長崎ながさきをバーチャルに訪問ほうもんできるアプリを開発かいはつしている若者わかものわたしも、おおくのひと被爆ひばく訪問ほうもんしてほしいとねがっています。

 ずっとむかし田中角栄たなかかくえい元首相もとしゅしょうが「戦争せんそう世代せだい政治せいじ第一線だいいっせんにいるあいだ大丈夫だいじょうぶ」とったそうです。終戦しゅうせんから75ねん今日こんにちわたしたちは戦争せんそうらずに「大丈夫だいじょうぶ」をつづけていかなければなりません。

 「ほかひとからの親切しんせつひとつひとつに感謝かんしゃし、ほかひとおもいやるところから『平和へいわ』ははじまるのではないだろうか。(りゃく)『平和へいわ』は人任ひとまかせにするのではなく、一人ひとりひとりのおもいや責任せきにんある行動こうどうきずきあげていくものだから」。あるきっかけで出合であったこの一文いちぶんに、わたしつよ共感きょうかんしました。いま大学生だいがくせい女性じょせいが、中学ちゅうがく卒業文集そつぎょうぶんしゅうに、広島ひろしまへの修学旅行しゅうがくりょこうについていたものです。

 みなさんは、どう「平和へいわ」をつくっていきますか?


中満なかみついずみさん[国連こくれん事務次長じむじちょう

 1963ねんまれ。アメリカの大学院だいがくいんて89ねん国連こくれんり。難民なんみん保護ほご国連平和維持活動こくれんへいわいじかつどう核兵器禁止条約かくへいききんしじょうやく採択さいたくなどのためにはたらいてきた。著書ちょしょ児童書じどうしょ危機きき現場げんばつ」など。

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