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的川博士の銀河教室

宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、JAXA名誉教授の的川泰宣さんが解説する長寿連載です。

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的川博士の銀河教室 613 12月5日午後にカプセル分離

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はやぶさ2は第二の旅へ

 オーストラリア政府による1年間の審査しんさを経て、8月6日に「着陸してよい」との許可が出されました。「はやぶさ2」の帰還きかんに向けてのスケジュールが一挙に本格化します。

 まず8月28日、イオンエンジンによる軌道修正きどうしゅうせいがほぼ終了しゅうりょうし、いったんイオンエンジンの噴射ふんしゃを止めました。現在チームは軌道決定作業を精密に行っています。その結果に基づき、9月半ばに軌道の修正(TCM)を行うべく、イオンエンジンを再度ふかします。それ以降もTCMの予定がありますが、10月以降はすべて化学エンジンで行います。帰還軌道の全体像をもっと広い視点からながめると、(図1)のとおりです。

 さて地球から22万キロまでもどってきたところで、「はやぶさ2」本体からカプセルが分離ぶんりされます(図2、図3)。それは12月5日の午後2~3時(日本時間)の予定。カプセルはその後大気圏たいきけん突入とつにゅうし、大気の激しい高圧・高温とたたかいながら降下し、最後にパラシュートで減速して、オーストラリアの大地に着陸するわけです。その帰還のあらすじは宇宙航空研究開発機構(JAXA)から発表されています。

 カプセルを地球に向けて放った後、「はやぶさ2」本体は、新たな「延長ミッション」の旅に入ります。どの天体を目標にするかについては、慎重しんちょうな検討がされました。まず、地球軌道を通過する小惑星しょうわくせい彗星すいせい1万8002個の中から、残った燃料で行ける可能性のあるもの、それも、ただ通り過ぎる(フライバイ)だけでなくランデブー飛行の可能な天体を354個選び出しました。そして最後の決め手として、工学的にミッション達成が可能で科学的価値の高い小惑星二つ((1)小惑星2001AV43、(2)小惑星1998KY26)がかびがりました。いずれ愛称あいしょうがつけられるのでしょうが……。

 どちらも、リュウグウに比べて小さく(30~40メートル)、周期10分ぐらいの高速で自転しています。科学的価値についても甲乙こうおつつけがたく、到達とうたつするには、地球や金星などを何度もスイングバイする必要があり、これから約10年の旅の末に到達するミッションとなっています。おそらく9月中には、どちらにするかをチームが決定して発表するでしょうから、その時点で、軌道計画についてはくわしく語ることにしましょう。


的川泰宣まとがわやすのりさん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍かつやくしてきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉めいよ教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣まとがわやすのりさんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載れんさい開始。カットのイラストは漫画家まんがか松本零士まつもとれいじさん。

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