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子ども向けの本を出版した作家さんたちに、創作の背景や自身の子ども時代について聞きます。

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今週は… 作家に聞く

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絵本作家の中川洋典さん=大阪市北区で10月12日、長尾真希子撮影
絵本作家の中川洋典さん=大阪市北区で10月12日、長尾真希子撮影
書影「ぼくとキキとアトリエで」
書影「ぼくとキキとアトリエで」

多様性たようせいどもたち 中川なかがわ洋典ひろのりさん

 「ぼくとキキとアトリエで」は、小学しょうがくねんせい主人公しゅじんこうりょうが、アトリエ教室きょうしつかよ仲間なかまたちととおして成長せいちょうする姿すがたえがきます。はじめての物語ものがたりよみものとなった絵本作家えほんさっか中川なかがわ洋典ひろのりさん(59)に、作品さくひんへのおもいをきました。【長尾ながお真希子まきこ

 ――なぜ絵画教室かいがきょうしつ舞台ぶたいにしようとおもったのですか。

 中川なかがわさん 10ねんまえぼくが1ねんかんおしえていた大阪府箕面市おおさかふみのおし実在じつざいするアトリエをモデルにしています。学校がっこうでもいえでもない場所ばしょに、年齢ねんれい家庭かてい環境かんきょうことなる多様性たようせいんだどもたちがつどい、無心むしんいている。そんなまっすぐな姿すがたこころたれ、いつか作品さくひんにしてみたいな、とかんがえていました。

 ――キキ先生せんせいのモデルとなった先生せんせい本当ほんとうにいるそうですね。

 中川なかがわさん モデルの先生せんせいは、どもをどもとしてるのではなく、一人ひとり表現者ひょうげんしゃとして尊重そんちょうするひとで、キキ先生せんせいとそっくりです。「ブランコにってこう」といったむちゃな提案ていあんをするような先生せんせいでしたが、絵画教室かいがきょうしつどもたちは、提案ていあんっかって、きちんとこたえるんですよ(わらい)。くことが、本当ほんとうきなんですね。

 ――女装じょそうをしている美容師びようしのカンヌさんなどキャラクターの大人おとなたちもおお登場とうじょうしますね。

 中川なかがわさん どものからて、いろいろなどもがいるように、大人おとなにも個性こせいゆたかなひとがいるということをってほしかった。ぼくは、どものころ、大人おとなへの不信感ふしんかんいだいていたんです。「最近さいきんわかいやつは」と、ひとくくりにされるのがいやで。ぼく主人公しゅじんこうりょうのように、どものころに信頼しんらいできる大人おとな出会であっていたら、もっと素直すなおになれていたかもしれない。そんな願望がんぼう作品さくひんめました。

 ――ご自身じしんはどんな小学生しょうがくせいでしたか。

 中川なかがわさん 漫画家まんがかになりたくて、教科書きょうかしょやノートの余白よはくにびっしり漫画まんがいているようなでした。でも美術びじゅつとは関係かんけいのない大学だいがくって、普通ふつうのサラリーマンになって……。そんなぼくが27さいとき突然とつぜん、「絵描えかきの神様かみさま」がりてきたんです。京都きょうと四条大橋しじょうおおはしから景色けしきて、猛烈もうれつきたくなった。絵描えかきの神様かみさまが「こっちにい」とぼくんだんです。それから絵本えほん専門学校せんもんがっこうき、40さいとき絵本作家えほんさっかとしてデビューしました。

 ――小学生しょうがくせいにメッセージを。

 中川なかがわさん 興味きょうみって、自然しぜんうつっていくものだとおもうんです。でもそのとき、そのとき自分じぶんきなものを大切たいせつにして、しをやしてほしい。そうすると、ふとしたことがきっかけで、ぼくみたいに、おもいがひそんでいたところから、おもいがよみがえってくることがあるかもしれません。


 ☆「ぼくとキキとアトリエで」(文研出版ぶんけんしゅっぱん、1430えん

 主人公しゅじんこうりょうにとって、高架下こうかした商店街しょうてんがいにある「アトリエキキ」は学校がっこうでもいえでもない、とおして仲間なかまとつながる特別とくべつ場所ばしょ。そんなアトリエキキにある、ピンチがおとずれ……。


 ■プロフィル■

 1961ねんまれ、京都府舞鶴市きょうとふまいづるし出身しゅっしん。2002ねんからフリーの絵本作家えほんさっか、イラストレーターとして活動かつどうおも作品さくひんに「きいているかい オルタ」(童心社どうしんしゃ)「ミカちゃんのひだりて」(ひかりのくに)など。

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