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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 622 太陽圏外のボイジャー2号

ボイジャー2号への指令の送信ができる「アンテナ43」(オーストラリア・キャンベラ)=NASA提供
NASAの深宇宙通信ネットワークを支えるアンテナの周辺の風景(オーストラリア・キャンベラ)=NASA提供
飛行するボイジャー2号のイメージ図=NASA提供

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7カ月ぶり、テスト送信成功

 1977年に米国フロリダから打ち上げられたボイジャー2号(図)は、私たちの太陽系の外惑星(がいわくせい)たち(木星・土星・天王星・海王星)やその衛星たちの観測をしながら、膨大(ぼうだい)な枚数の写真を届けました。その大部分は人類が初めて目にする驚(おどろ)くべきものばかりでした。

 そして惑星が太陽を周回する領域をはるかに越(こ)えて、先行するボイジャー1号の後を追い、1号が2012年に太陽圏(けん)を脱出(だっしゅつ)すると、2号も太陽圏を飛び出し、18年に星間空間に達しました。その後どんどん私たちから遠ざかっているボイジャー2号は、搭載(とうさい)している原子力電池のおかげで、現在もまだいくつかの機器を動かすことができており、しかもその搭載パラボラアンテナも地上局と交信をすることができます。

 ただし、飛行している軌道(きどう)の関係で、ボイジャー2号は地球上の南半球にあるアンテナとしか交信ができません。しかも電波で呼びかけると片道およそ18時間もかかる距離(きょり)(約188億キロ)にあり、交信の1往復には36時間くらい、つまり1日半もかかってしまいます。米航空宇宙局(NASA)は、超遠距離の惑星探査機と交信するためのネットワーク(深宇宙通信網(もう))を持っていますが、南半球にあってボイジャーに指令電波を送信することができるのは、位置の関係で、オーストラリア・キャンベラに建設された直径70メートルの巨大(きょだい)な「アンテナ43」(写真1)だけなのです。

 その「アンテナ43」の二つの送信機の一つは、実に47年間も修理しないままで使ってきていたので、今年の3月半ばから熱制御(せいぎょ)や電源などの修理と改修の工事を始めていました。それ以来こちらからの送信はできないままだったのですが、同じキャンベラにある直径34メートルのアンテナ3台を同時に使用することによって、ボイジャー2号から送られてくる星間空間の観測データは受信を続けています(写真2)。

 改修工事も進み、NASAがさる10月29日に、「アンテナ43」からテスト用の信号を送ってみたところ、ボイジャー2号はその信号を受信し、送った指示を実行したことが判明しました。素晴らしいですね。これで、作業が順調に進行していることが分かったので、改修工事が完了(かんりょう)する2021年2月からは、再び本格的な交信を開始できるでしょう。

 なお、NASAの深宇宙通信ネットワークの巨大アンテナは、北半球の米国・ゴールドストーンとスペイン・マドリードにも建設されていて、「ボイジャー1号」とは北半球のアンテナを使って通信することが可能です。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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