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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 623 地味な存在だった小惑星

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突然やってくる隕石衝突

 さる7月2日未明に関東上空で火球が目撃(もくげき)され、千葉県の習志野(ならしの)市と船橋(ふなばし)市に落下した事件(写真1)は覚えていますか。宇宙空間には大変たくさんの天体があり、その中には地球に脅威(きょうい)をもたらす恐(おそ)れのあるものも数多くあります。

 小惑星(しょうわくせい)や彗星(すいせい)に由来するチリが大気圏(たいきけん)に高速で突入(とつにゅう)して流れ星になります。その際、周囲の大気が電離(でんり)して電波を反射するようになって、地上のレーダーで観測できるようになるのですが、少し前までは、どれぐらいの大きさの流れ星が電波をどの程度反射するのかがよく分かっていませんでした。しかしレーダーが高性能になってきて、最近では重さが0.01ミリグラム~1グラムといった小さなチリの量も見積もることができるそうです。

 その結果、流れ星として宇宙から降り注ぐチリの量は、地球全体で毎日1トンほどにも達しているそうですよ。

 金星・火星・木星・土星……。目立つ大きな惑星たちの陰(かげ)に隠(かく)れて地味な存在だった小惑星。サンプルを持ち帰る「はやぶさ2」などの挑戦(ちょうせん)は、このような小惑星の衝突事故(しょうとつじこ)に備えるためにも大切なことですね。

 でもそのずっと前から、小惑星が、人類を含(ふく)む地球の生き物の未来にとって大変な脅威になっていることが分かっていました。その脅威は、ある日突然にやって来ます。小惑星のかけらである隕石(いんせき)の衝突です。たとえば写真2は1908年にシベリアで起きた小天体衝突の直後の写真。爆風(ばくふう)でなぎ倒(たお)された木々は、実に8000万本。被害(ひがい)は東京都と同じくらいの広さに及(およ)びました。

 そしてその恐れが、うわさ話でないことを如実(にょじつ)に示したのは、94年に彗星がバラバラに砕(くだ)かれながら木星に次々と衝突した出来事(写真3)。人類が初めてこの目で見た大規模な天体衝突の瞬間(しゅんかん)でした。木星に起きたことだったら、私たちの住む地球にだって起きる可能性はあります。想像力を働かせれば、この94年のシューメーカー・レビー第9彗星の衝突は、身の毛のよだつような出来事だったのです。

 さらに2013年2月には、ロシア中部のチェリャビンスク近郊(きんこう)に大きな天体が落下し、1500人以上がけがをし、学校の校舎をはじめとして7400の建物に被害が出る事件が起きましたね。

 みなさんは、今から約6600万年前に小惑星が衝突し、恐竜(きょうりゅう)が絶滅(ぜつめつ)する大きな原因になったという説を聞いたことがあるでしょう。同じことが今の地球で起きれば、人類はなすすべもなく絶滅します。危険が迫(せま)ってきた場合どうしたらいいのか、対策を練る議論も国連をはじめとして世界中で開始されているのです。探査機「はやぶさ2」の持ち帰る小惑星のサンプルは、こうした研究にも役立つものです。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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