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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 628 「はやぶさ2」のカプセルに黒い粒

発見・回収された「はやぶさ2」のカプセル=JAXA提供
はやぶさ2のカプセル内で試料を格納する「サンプルキャッチャー」内で確認された黒い石の粒(左側)。リュウグウで採取した岩石のかけらだとみられる=JAXA提供

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太陽系の歴史語るまぶしい輝き

 さる12月6日、オーストラリアのウーメラ砂漠(さばく)で回収された「はやぶさ2」のカプセル(写真1)は、「Falcon」(はやぶさ)という名の飛行機に乗って、日本に到着(とうちゃく)しました。

 8日には神奈川県相模原(さがみはら)市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所のキャンパスに搬入(はんにゅう)され、カプセル内のサンプルコンテナの開封(かいふう)作業が行われました。地球の環境(かんきょう)で汚(よご)れていないサンプルを採取してきたのに、ここで地球の汚れと混じってしまっては、今後の分析(ぶんせき)が意味のないものになりますから、開封作業は、専用施設(しせつ)内の真空環境下で、慎重(しんちょう)に進められました。

 まず14日、サンプルを格納している「サンプルキャッチャー」(図)の入っているコンテナを内視鏡で観察し、コンテナの底部に黒い砂のような粒子(りゅうし)が多数あるのを確認しました。打ち上げ後の経過から言って、この砂粒(すなつぶ)は小惑星(しょうわくせい)リュウグウ由来と見て間違(まちが)いないでしょう。どうやら、これから本格的に開封するキャッチャーの中に、大きいサンプルがいっぱい入っていそうだ――チーム・メンバーの胸は一様にワクワクと盛り上がってきました。

 10年前の初号機の時は、初めのうちは目に見えるものが何もなかったので、みんな大変ショックを受けたものです。そして、ついに歴史的な開封の時を迎(むか)えました。15日の朝、「はやぶさ2」の「玉手箱」(サンプルキャッチャー)の蓋(ふた)がゆっくりと開かれました。キャッチャーは全部で3室あります。今回の2度のタッチダウンで使ったのは、A室とC室。まず開けたのはA室で、昨年2月22日(1回目タッチダウン)で採取したサンプルが入っている部屋です。

 最初に目視で確認したのは、JAXAの澤田(さわだ)弘崇(ひろたか)さんです。後の記者会見の席で彼(かれ)は、「数ミリサイズの試料がごろごろ、どっさり入っていて言葉を失うくらいでした。期待をはるかに上回る量を採取できました」と声を弾(はず)ませました。そこには、直径数ミリ程度の黒い石が多数、太陽系の歴史を語る輝(かがや)きをまぶしく放っていました(写真2)。竜宮城(りゅうぐうじょう)から帰った玉手箱から出てきたのは、煙(けむり)ではなく、本物の宝物だったのです。「サンプルキャッチャー」の重量を、打ち上げ前と比較(ひかく)したところ、5.4グラム増えていました。当初の目標は0.1グラムだったので、50倍以上の試料採取に成功したことになります。

 新型コロナウイルスまん延(えん)の中で続けられた「はやぶさ2」チームの奮闘(ふんとう)は、大きな果実をもたらしました。すでに岩石のかけらが取り出され、光学顕微鏡(こうがくけんびきょう)での観察や重量測定が開始されています。来年初めには、いよいよ人工クレーターによって湧(わ)き出(で)たリュウグウの地下物質のサンプルが、キャッチャーのC室から取り出されるでしょう。そのニュースを心待ちにしながら――みなさん、それではよいお年を!


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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