アメリカ大統領選で勝利し、政権移行の準備を着々と進めるバイデンさん=AP
2020年の世界は、変化の波が押し寄せました。新型コロナウイルスが世界に感染を広げる中、中国は香港での統制を強めました。1月にはイギリスがヨーロッパ連合(EU)から離脱。11月のアメリカ大統領選挙では、民主党のジョー・バイデン前副大統領(78)が勝利し、共和党から政権を奪い返しました。【木谷朋子】
11月3日に行われたアメリカ大統領選は、再選を目指す共和党のドナルド・トランプ大統領(74)と、民主党のバイデンさんによる激しい争いになりました。
選挙戦では、トランプさんが進めてきた政治をどう評価するのかが問われました。トランプさんは「アメリカ第一主義」を掲げ、自分の国の利益や産業を守る姿勢を強めました。海外からの製品に高い税金(関税)をかけ、特に中国との関係が悪くなりました。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から脱退するなど、国際社会と足並みをそろえなくなりました。これに対し、バイデンさんは、国際社会でアメリカの指導力を取り戻そうと訴えました。
アメリカでは、新型コロナウイルスの感染者と死者の数が世界で最も多くなりました。トランプさんは感染を防ぐことよりも経済活動を重んじがちで、選挙が間近にせまった10月には自分も感染してしまいました。
分断から結束へ
アメリカ大統領選は、一般の有権者の投票に基づき、各州・区に割り振られた選挙人をどれだけ獲得するかで勝ち負けが決まります。全体の選挙人538人のうち、バイデンさんが当選に必要な過半数(270人)を獲得して勝利を宣言。「私は分断ではなく結束を目指す大統領になることを誓う」と語りました。
トランプさんは選挙に不正があったと納得していませんが、12月14日には選挙人による正式な投票でバイデンさんが306人を獲得して勝利を確定させました。
バイデンさんは外交通の上院議員として知られ、民主党のオバマ前大統領の政権で8年間にわたり副大統領を務めました。来年1月20日に第46代大統領に就任すれば、史上最高齢になります。=2面につづく
■顔
◆カマラ・ハリスさん
初の女性副大統領に
アメリカ大統領選で民主党の副大統領候補となったのは、黒人女性のカマラ・ハリスさん(56)=写真・AP=です。女性として初めて副大統領に就任します。勝利宣言演説では「私は最初の女性副大統領かもしれませんが、最後ではありません。なぜなら全ての少女たちが今夜の光景を見て、この国は可能性の国だと理解するでしょうから」と述べました。
ハリスさんはジャマイカ系の父とインド系の母を持つ移民2世です。カリフォルニア州の司法長官などを務め、2016年に上院議員に当選しました。大統領選の民主党の候補争いに名乗りを上げましたが、途中でやめていました。