みなさんは冬休みをどのように過ごしていますか。宿題もあると思いますが、新しい年に向けて、家のお手伝いをしてみてはどうでしょうか?
朝一つの仕事を
長年、子どもの生活技術や生活習慣などについて調査してきたNPO法人「子どもの生活科学研究会」代表で目白大学名誉教授の谷田貝公昭さんは「お手伝いは子どもにとても大切です」といいます。なぜなのでしょうか。
生きていくうえでの知恵や知識は、間接的な体験から得られるものと、直接的な体験から得られるものがあります。間接的な体験は、学校の勉強や読書、テレビを見ることなどから得られます。直接的な体験は、遊びや仕事から得られます。「この二つが車の両輪のように、子どもの成長に必要です」と、谷田貝さんは話します。
直接的な体験に
今の子どもは、昔の子どもに比べて、遊びや仕事といった直接的な体験が減っていることを、谷田貝さんは心配しています。この直接的な体験になるのがお手伝いです。
谷田貝さんが勧めるのは、朝、学校に行く前に一つの仕事を担当することです。そのためには少し早起きしなくてはなりません。生活のリズムができて、体を動かすことで朝食もおいしく食べられます。
新聞受けから新聞を取ってくることでもいいですし、朝ご飯の食器を並べる、飼っている生き物の世話、ほうきで自分の家の前の道路をはくなど、何でもいいそうです。「どんな簡単な仕事でもいいので、家族の一員として続けることが自立していく第一歩になります。生活の知恵を身につけておくと、人生に広がりが持てます。できることが増えると応用力もついてきます」。谷田貝さんは強調します。
身近なことから
学校では、当番や宿題など、自分の意思とは関係なくしなくてはならないことが増えてきます。和洋女子大学人文学部こども発達学科准教授の伊瀬玲奈さんは「お手伝いは、自分のやりたいことから始めてみてください。自分から取り組むことによって、どうしたらうまくできるかという工夫が生まれやすいです」と勧めます。
自分の身近なことから取り組むのでもいいそうです。冬休みの間に、1年間使ってきたかばんや筆箱を拭いてきれいにしたり、筆箱の鉛筆や消しゴムが小さくなっていないかなどをチェックして入れ替えたりしてみましょう。学校が始まれば、朝、マスクやハンカチやティッシュなどを自分で用意するのもいいです。自分にとって役立つことが実感できれば、家族のためにもやりたくなるでしょう。
中学年、高学年になれば、ごみ捨てや分別をするのもいいそうです。ごみは自治体によって違いがありますが、分別して集められています。たとえばペットボトルのラベルには、ボトル本体とラベル・キャップのリサイクルのマークがそれぞれ記されています。伊瀬さんは「普段はあまり意識しないかもしれませんが、ごみがどういうふうに分別されているかを知ることができます」と話します。【下桐実雅子】<え・内山大助>