デフェンスを交わし攻め込む日テレベレーザの長谷川唯選手=多摩市立陸上競技場で2020年11月、玉城達郎撮影
試合後、チームメートと談笑する日テレベレーザの長谷川唯選手=多摩市立陸上競技場で2020年11月、玉城達郎撮影
プレーできる幸せ 練習重ね結果に 日本代表の責任感じる
――いつからサッカーを始めましたか。
兄の影響で、気がついたらボールを蹴っていました。サッカーチームに入ったのは、小学1年生の時。男子のワールドカップ(W杯)を見て、いつかW杯の舞台に立ちたいと思っていました。6年生の時に日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織、日テレ・メニーナ(現在の日テレ・東京ヴェルディメニーナ)のテストを受け、翌年入団しました。前回の年女は、今ここにいるか、いないか大きな分かれ道となった年でした。
――ドリブルのテクニックや正確なパス、豊富な運動量に定評があります。157センチメートルと小柄ですが、大きな相手と戦う時に気を付けていることはありますか。
背が低いことをネガティブにとらえていません。相手にぶつからず、いいポジションをとるよう「考えるプレー」をしています。トップスピードをあげるトレーニングを重ね、新たなプレースタイルができているし、まだ増やせると思います。
――昨年は新型コロナウイルスで外出を控える自粛期間を過ごしたり、日本女子代表(なでしこジャパン)として出場を目指す東京オリンピック(五輪)が延期になったりしました。
自分が目指すイメージがあるので、試合がなくても、五輪が延期になってもモチベーション(やる気)が下がることはありませんでした。今しかできないことを楽しみながら、自粛中もトレーニングに励みました。(17歳以下や20歳以下の)アンダー世代のW杯に出場し会場の雰囲気は分かっていましたが、2019年のW杯で海外選手の迫力に圧倒されました。五輪が延期になったことで、海外との差を縮めるための時間ができました。テクニックや判断力は日本もレベルが上がっていますが、スピードやフィジカル(身体能力)を伸ばさないと勝てない。(五輪の)7、8月までにどう成長できるかが大事です。
――9月には女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕します。
プロになりたい気持ちはあったので、日本でかなう環境ができるのはいいことだと思います。ただ、プロ化するだけでなく、どんなサッカーをするのか、選手ががんばらないといけません。そのがんばりが女子サッカー全体のレベルを上げ、なでしこジャパンの結果につながります。日本代表に選ばれている以上、責任を感じます。
――サッカーをやっていてよかったことは。
練習で積み重ねたことを試合で発揮し、結果につながるとうれしいです。だから、試合だけでなく練習も毎日楽しい。サッカー以外でこんなに楽しいことに出合ったことはありません。サッカーができることが幸せです。【篠口純子、写真・玉城達郎】
プロフィル
1997年生まれ。宮城県出身。埼玉県戸田市の小中学校を経て日出高校(東京都目黒区、現目黒日本大学高校)、日本大学を卒業。2013年に日テレ・ベレーザ(現在の日テレ・東京ヴェルディベレーザ)に上がる。17年からサッカー日本女子代表「なでしこジャパン」に選ばれる。ポジションはミッドフィールダー(MF)。