Q 宇宙飛行士のうんちやおしっこは、宇宙でどのように処理しているのですか。(大阪府岸和田市、小学生)
尿はホースで吸引 飲み水にも再利用
A 人間が生活する上で欠かせないのが、トイレ。無重力空間である宇宙でのトイレ事情について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)広報部の山本邦正さん(45)に教えてもらいました。
国際宇宙ステーション(ISS)には、アメリカとロシアの居住区画(モジュール)にそれぞれ1台ずつトイレが設置されています。ISSのトイレは空気を吸引するファンにつながっていて、うんちや尿が飛び散らないように吸い取る仕組みになっています。
尿は掃除機のようにホースで吸い取ります。ロシア製のトイレは22リットルのタンクがいっぱいになると、ISSに結合しているプログレスという補給船に運び込まれます。アメリカのトイレは、飲み水にリサイクルする仕組みがあります。
うんちは、便器の内側に小さな穴がたくさん開いたバッグを取り付け、その中に回収します。バッグのゴムが自動的に閉まるようになっていて、その後、アルミ製のタンクに収められ、新しいバッグを取り付けます。うんちの入ったタンクも補給船に積み込まれ、補給船はISSから離れた後、廃棄物を積んだまま大気圏に突入し、燃やされます。
では、尿がリサイクルされる仕組みはどうなっているのでしょうか。尿は尿処理装置へ送られて、髪の毛やほこりなどの固形物やガスを取り除いた後、減圧して蒸留することで水分を回収します。これをエアコンからの水と一緒に水処理装置に送ります。水処理装置では、残っていた有機物や微生物などが取り除かれます。
このように処理された水は、飲み水や宇宙食の調理などに使われるほか、アメリカの酸素生成装置に送られて酸素をつくり出すのに使われます。宇宙服や実験で使う水としてや、トイレの洗浄水としても使われるそうです。宇宙空間で水はとても貴重です。
無重力空間でトイレをするコツを教えてもらいました。「無重力空間では、体がフワフワ浮いてしまうので、トイレの床にあるペダルに足を引っかけたり、手すりをつかんだりして、体を安定させることが大切です」と山本さんは話します。
動画サイトのユーチューブでは、大西卓哉宇宙飛行士(45)が行ったISSでのトイレリポート(https://www.youtube.com/watch?v=69WoCQ8a1Tw)を見ることができます。【長尾真希子】