日本(にほん)沿岸(えんがん)の平均(へいきん)海面(かいめん)水位(すいい)の移(うつ)り変(か)わり=気象庁(きしょうちょう)提供(ていきょう)
2020年の日本沿岸の平均海面水位が平年(1981~2010年の平均)に比べて8・7センチメートル高く、統計を取り始めた1906年以降で最も高くなりました。国の役所の気象庁が発表しました。地球の温暖化によって、海水の体積が大きくなったことなどが要因とみられています。
黒潮が接近
気象庁は、北海道から九州の沿岸16か所の観測で、日本沿岸や地域ごとの海面水位を分析しています。水は温まると体積が大きくなる性質があります。
2020年は、日本列島の太平洋側を流れる暖流の黒潮が、関東から東海地方の沿岸に近づくことが多くなりました。この影響もあり、関東・東海沿岸では平年より13・2センチメートル高くなり、観測史上最高の水位を記録しました。
2020年(ねん)1月(がつ)下旬(げじゅん)の黒潮(くろしお)の流(なが)れ。紀伊半島(きいはんとう)付近(ふきん)沿岸(えんがん)で蛇行(だこう)し、東海(とうかい)・関東(かんとう)沿岸(えんがん)に近(ちか)づいています=気象庁(きしょうちょう)提供(ていきょう)
北陸から西の日本海側では、日本海の表面の海水温が高かったほか、暖流の対馬海流が沿岸近くを流れました。これらの影響で、平均水位は平年より10・2センチメートル高くなり、16年の最高記録に並びました。
高潮のリスクも
海面の水位が上がると、台風や強い低気圧によって高い波が押し寄せる「高潮」が起き、被害が大きくなるリスク(危険性)が高まります。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、地球全体では1993~2015年に年3・16ミリメートルのペースで平均海面水位が上がっています。
気象庁によると、この間に日本沿岸でも海面水位が年2・8ミリメートルずつ上がっています。ただ、海の様子が10~20年周期で変わることなど、さまざまな要因も影響していて、気象庁は「温暖化にともなう海面水位の上昇を正確に見つけ出すためには、引き続き監視が必要だ」としています。【信田真由美】