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スポーツ 大坂選手会見拒否 選手への配慮、考える契機に

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2019年(ねん)全(ぜん)アメリカオープン開幕前(かいまくまえ)に記者会見(きしゃかいけん)に応(おう)じる大坂(おおさか)選手(せんしゅ)=アメリカ・ニューヨーク市内(しない)の試合会場(しあいかいじょう)で2019年(ねん)8月(がつ)23日(にち) 拡大
2019年(ねん)全(ぜん)アメリカオープン開幕前(かいまくまえ)に記者会見(きしゃかいけん)に応(おう)じる大坂(おおさか)選手(せんしゅ)=アメリカ・ニューヨーク市内(しない)の試合会場(しあいかいじょう)で2019年(ねん)8月(がつ)23日(にち)

藤野智成ふじのともしげ 毎日新聞まいにちしんぶん 運動部長うんどうぶちょう

 女子じょしテニスの大坂おおさかなおみ選手せんしゅ(23)がフランス・パリでひらかれているぜんフランスオープンを途中棄権とちゅうきけんし、うつ状態じょうたいにあることを自身じしんのツイッターで告白こくはくしました。「2018ねんぜんアメリカオープン以降いこう、うつにくるしんでおり、対処たいしょなやまされてきたというのが真実しんじつです。しばらくコートからはなれます」とつづりました。

 大坂おおさか選手せんしゅ大会前たいかいまえ試合後しあいご記者会見きしゃかいけんおうじないと表明ひょうめいし、「選手せんしゅ精神状態せいしんじょうたい無視むしされている。何度なんどおな質問しつもんをされ、疑念ぎねんいだ質問しつもんおおい」とうったえました。1回戦かいせん勝利後しょうりご会見かいけん拒否きょひ主催者側しゅさいしゃがわ大坂おおさか選手せんしゅ罰金ばっきんし、メディアが競技きょうぎ発展はってんやファン拡大かくだい貢献こうけんしてきたことをまえ「メディア対応たいおうはファンのための選手せんしゅ責任せきにん」との声明せいめいしていました。

 大坂おおさか選手せんしゅしるした3年前ねんまえぜんアメリカオープンとは、彼女かのじょにとってもっとかがやかしい記憶きおくだとわたしおもんでいました。なぜなら日本人にっぽんじんはじめて4だい大会たいかいのシングルスをせいし、ときひととなった舞台ぶたいだからです。ここから取材しゅざい殺到さっとうし、番組ばんぐみやイベントへの出演しゅつえんつづきました。世間せけん耳目じもくにさらされ、大会たいかいでヘッドホンをしていたのは「不安ふあんやわらげる」ためだったとつづっています。

 わたし担当たんとうした競技きょうぎでは、柔道じゅうどう松本薫まつもとかおりさん(33)が12ねんロンドン・オリンピックできんメダル獲得かくとく一時いちじかお半分はんぶんおおかくすようなマスクをしていたと、のち松本まつもとさんの母親ははおやからきました。からだ全体ぜんたい闘志とうし表現ひょうげんし「野獣やじゅう」との愛称あいしょうしたしまれた松本まつもとさんですが、素顔すがおはとても繊細せんさいです。故郷こきょうもどっても注目ちゅうもくがつきまとい、母親ははおやには「『もうほうっておいて』というサインだった」とうつったとかえっていました。急激きゅうげき環境かんきょう変化へんか選手せんしゅ負担ふたんとなります。

 試合しあい直後ちょくご記者会見きしゃかいけん選手せんしゅ歓喜かんき勝負しょうぶのあや、競技きょうぎ魅力みりょくひろつたえるための貴重きちょう取材しゅざいです。ただ選手せんしゅへの配慮はいりょ必要ひつようです。会見かいけん義務化ぎむかしているテニス4だい大会たいかい現状げんじょう大坂おおさか選手せんしゅは「時代遅じだいおくれな部分ぶぶんがある」と問題もんだい提起ていきしています。スポーツかいとメディアがどううのか、あらためてかんがえるきっかけにしたいとおもいます。


 1973ねん大阪府おおさかふまれ。鹿児島かごしま支局しきょくしに、運動部うんどうぶではおお相撲ずもうやラグビーを担当たんとう。オリンピック夏冬なつふゆ3大会たいかいとロンドン・パラリンピックを現地げんち取材しゅざいしました。趣味しゅみ散歩さんぽ温泉おんせんです。

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