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メディア 五輪関係者いじめ記事 組織委・掲載誌、人権意識薄く

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クイック・ジャパン(1995年(ねん)3号(ごう))に掲載(けいさい)された小山田圭吾(おやまだけいご)さんのインタビュー記事(きじ) 拡大
クイック・ジャパン(1995年(ねん)3号(ごう))に掲載(けいさい)された小山田圭吾(おやまだけいご)さんのインタビュー記事(きじ)

山田やまだ道子みちこ もとサンデー毎日編集長まいにちへんしゅうちょう

 東京とうきょうオリンピック・パラリンピック競技大会きょうぎたいかい開会式かいかいしき音楽おんがく担当たんとうすることになっていたミュージシャンの小山田圭吾おやまだけいごさんが開幕前かいまくまえ辞任じにんしました。

 山田やまださんが、障害しょうがいつとみられる同級生どうきゅうせいをいじめていたことを告白こくはくした1990ねんだい雑誌ざっしインタビュー記事きじが、ネットやメディアで問題もんだいとなり、結局けっきょく山田やまださんが辞任じにんもうて、五輪組織委員会ごりんそしきいいんかいれたのです。

 知的障害者ちてきしょうがいしゃ権利けんり擁護ようご団体だんたい全国手ぜんこくてをつなぐ育成会連合会いくせいかいれんごうかい」は7がつ18にち発表はっぴょうした声明せいめいで、「いじめというよりは虐待ぎゃくたい、あるいは暴行ぼうこうぶべき所業しょぎょう」とだんじ、「インタビューでの発言はつげんではあきらかに障害者しょうがいしゃ差別さべつてき揶揄やゆしている部分ぶぶん各所かくしょ見受みうけられ、すくなくともインタビュー時点じてんではまったく反省はんせいしていないばかりか、一種いっしゅ武勇伝ぶゆうでんのようにかたっている様子ようすがうかがえます」としました。

 どう連合れんごうかいやメディアは、小山田おやまださんがどのような人物じんぶつかを調しらべず、発覚はっかく続投ぞくとうさせようとしていた組織委員会そしきいいんかいを「人権じんけん感覚かんかくける」と批判ひはんするとともに、任命にんめいした組織委員会そしきいいんかい説明責任せつめいせきにんつようったえました。

 同時どうじに、記事きじせたメディアの人権じんけん感覚かんかくわれました。山田やまださんのいじめ加害かがい告白こくはく記事きじせた「ロッキング・オン・ジャパン」の山崎洋一郎やまさきよういちろうさんは、「(インタビュアーや編集へんしゅうちょうとして)いじめという問題もんだいたいしての倫理観りんりかん真摯しんしさにける間違まちがった行為こういだった」、太田出版おおたしゅっぱんおかさとし社長しゃちょうも「当時とうじのスタッフに事実じじつ経緯けいい確認かくにんおこない、記事きじ再検討さいけんとうした結果けっか記事きじ被害者ひがいしゃかたきずつけるだけでなく差別さべつ助長じょちょうする不適切ふてきせつなものであることは間違まちがいないと判断はんだんしました」として謝罪しゃざいしました。 

 文芸評論家ぶんげいひょうろんか斎藤美奈子さいとうみなこさんは「当時とうじこのけん大々的だいだいてきほうじられていたら、廃刊はいかんまれたかもしれない」とっています(東京新聞とうきょうしんぶん7がつ21にち朝刊ちょうかん)。どんな時代じだいでもメディアの「表現ひょうげん自由じゆう」には、社会的責任しゃかいてきせきにんともなうことをさい認識にんしきしました。


 毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ政治部せいじぶ夕刊ゆうかん編集部へんしゅうぶ政治せいじなが取材しゅざい週刊誌しゅうかんし「サンデー毎日まいにち編集長へんしゅうちょうとして新聞しんぶんそとから経験けいけんをして、メディアに関心かんしんつようになった。1961ねんまれ。

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