懸命(けんめい)なプレーをした松島(まつしま)美空(みく)選手(せんしゅ)=13日(にち)
温泉に行くと、家族連れが卓球を楽しむ様子を見ることがあります。私も子どものころ、家族で温泉に泊まったときに、浴衣姿の父や母、きょうだいと卓球をしました。子どもたちに負けじと真剣に打ち合う大人の姿が面白く、良い思い出になっています。
私は先日、初めて卓球の試合を見る機会に恵まれました。神奈川県平塚市で開催された、ノジマTリーグ初の個人戦「ノジマカップ」です。ノジマTリーグは、日本の卓球のレベルや人気をさらに高めるために作られた、日本初の卓球国内リーグです。今回の個人戦は2024年パリ・オリンピック(五輪)代表選考会を兼ねており、昨年の東京五輪メダリストの伊藤美誠選手、平野美宇選手、石川佳純選手、張本智和選手ら、トップ選手が熱戦を繰り広げました。
間近に感じる息づかい
ノジマTリーグ個人戦(こじんせん)「ノジマカップ」で優勝(ゆうしょう)し、トロフィーを掲(かか)げる張本智和(はりもとともかず)選手(せんしゅ)(左(ひだり))と早田(はやた)ひな選手(せんしゅ)=14日(か)
私は新聞記者になりたてのころ、野球やラグビー、駅伝の取材をしました。いずれのスポーツも観客席や記者席から選手は遠く、細かな息づかいや表情を近くに見ることはできませんでした。でも、今回初めて卓球のトップ選手の熱戦を観戦し、選手と客席との近さに驚きました。試合の合間にコーチと言葉を交わし、うなずきながら汗をぬぐうさまや、ミスをして悔しそうにラケットを握り直すようすが、間近に見られました。「ドンッ」と、サーブの時に踏みならす床の音にびっくりしたり、目で追えぬほどの球のスピードに圧倒されたりしました。
年齢差なく対戦
参加者には、史上最年少の9歳でTリーグに参戦した、松島美空選手もいました。卓球台から上半身がやっとのぞく小さな体で鋭い球を打ち、精いっぱいのプレーをしました。1回戦で14歳年上の選手に負けましたが、大きな拍手が送られました。10代の選手もおり、年齢差に関係なく戦えるスポーツだと再認識しました。
卓球の発祥は19世紀のイギリスとされます。貴族らが雨の日、外でテニスができないかわりに、室内でテーブルを使って楽しんだのが始まりといわれています。日本にはヨーロッパから、明治時代に伝わり、広まりました。
日本卓球協会によると、2021年度の協会への登録人数は約30万人で、20年度よりも4万人近く増えました。登録せずに楽しんでいる人は、100万人を超えるともいわれます。五輪メダリストの試合を、間近に見る機会も増えています。みなさんもぜひ、体育館に足を運んでみてください。また、次回お会いしましょう。ごきげんよう。【編集長・木村葉子】