澤田克己 毎日新聞 論説委員
パーティーで騒(さわ)ぐサンナ・マリン首相(しゅしょう)の姿(すがた)が撮影(さつえい)された映像(えいぞう)=ツイッターより
北ヨーロッパ・フィンランドの首相をしているサンナ・マリンさんが、パーティーで踊っている動画の流出で騒ぎに見舞われました。
与党の国会議員や有名歌手らと開いたパーティーの様子を撮影したものです。大きな音量の音楽に合わせて激しく踊ったり、叫んだりしています。
フィンランドは、ロシアと長い国境を接する国です。ロシアから侵略された経験もあるので、ロシアのウクライナ侵攻で危機感が高まりました。侵攻の影響で、日本と同じように物価が高くなり、市民の生活が苦しくなってもいます。
動画がSNS(ネット交流サービス)などに流出すると、野党が批判しました。難しい課題がたくさんあるのに、首相が楽しそうに遊んでいるのは問題だ、というのです。
マリンさんは「私にも、友人と過ごす自由な時間がある。同じ年ごろの人たちと同じだ」と反論しました。「踊って、歌ったけれど、法律に違反するようなことはしていない」ということでした。
マリンさんは昨年、新型コロナウイルスの自主隔離の決まりに違反して批判され、謝罪したことがあります。感染者と接触したのに、クラブに行っていたのです。この時の行動が、今回の批判にもつながっているようです。
女性政治家であるマリンさんは、2年前に34歳で首相になりました。家計を助けるため15歳からパン屋さんなどで働きながら大学を卒業した努力家だそうです。首相になった時には、女性12人、男性7人という内閣を作ったことでも注目されました。
このニュースを伝えるヨーロッパのメディアには、イギリス首相のジョンソンさんやドイツ首相だったメルケルさん、アメリカ大統領だったオバマさんらが踊る動画をサイトに並べて紹介するものがありました。年上のベテラン政治家たちと比べると、マリンさんの踊りはとても上手だという感想が多いようです。
韓国・ソウル特派員を通算8年半、スイス・ジュネーブ特派員を4年務めました。専門は韓国、北朝鮮ですが、ジュネーブでは国連も取材。趣味は囲碁と旅行。キムチが大好き。1967年生まれ。