ルービックキューブの世界選手権が韓国で開催され、アメリカのマックス・パークさん(21)が優勝しました。ギネス世界記録を保持しているマックスさんがルービックキューブを始めたのは、自閉症の症状を改善するためでした。来日したマックスさん一家にルービックキューブとの出合いや今後の目標を聞きました。
世界選手権は8月12~15日に韓国で開かれ、63の国・地域から約1400人が参加しました。6面の色をそろえる速さを競い、マックスさんはメイン競技の3×3(各面が九つの正方形でできているタイプ)で優勝しました。2017年大会以来、2度目のチャンピオンに輝きました。
鮮(あざ)やかな手(て)さばきで面(めん)をそろえていくマックスさん
マックスさんがルービックキューブを始めたのは10歳の時でした。幼い頃に自閉症と診断されており、指先の運動能力の改善やコミュニケーションの向上のために始めました。母のミキさんがユーチューブを見てやり方を教えると、すぐに1分でそろえられるようになったそうです。
社会性を身に付けるために、近所で開かれた大会に出場しました。人と視線を合わせたり、順番が来るまで待ったりする練習になると思ったからです。2回目に出場した大会で、6×6で優勝しました。表彰式で10歳のマックスさんが大学生たちと並び、家族を驚かせました。
あこがれの存在に
父のシュワンさんは「コミュニケーションを学ぶために大会に行きました。大会に出ることが自閉症のよいセラピーになった」と言います。
16年から急激にルービックキューブにのめり込み、10代で次々と世界記録を打ち立てました。今年6月には3秒13を出し、ギネス世界記録を更新しました。4×4から7×7、3×3片手など計10の世界記録を保持しています(8月23日現在)。選手たちのあこがれの存在となり、大会中はマックスさんの周りに多くの人が集まります。
マックス・パークさん(中央(ちゅうおう))と両親(りょうしん)
次の挑戦は、子どもに教えるキャンプを開くことです。マックスさんが尊敬するオーストラリアのフェリックス・ゼムデグス選手と来年、キャンプを開催する予定です。
シュワンさんは「ルービックキューブで、世界とつながるたくさんの機会をもらった。ルービックキューブをやっていなかったら出会えなかったであろう、多くの友達と出会えた」と得たものの大きさを語りました。ミキさんは「不可能なことはない。希望をもってほしい」と話しました。【篠口純子】