基本情報
舞台 1980~90年代の日本
作者 岩明均
連載誌 月刊アフタヌーン(講談社)など
連載開始 1988年
名作メーター
奇想天外 ★★★★★
哲学性 ★★★★★
衝撃シーン ★★★★★
人間とは何ものか
「ぱふぁ」と顔面が割れて、人の頭をバツンと食べる未知の生物……。衝撃的な描写の多さにもかかわらず、「人間とは何ものか」という深いテーマをはらみ、哲学者の鶴見俊輔さんに「生涯に読んだ最も面白い本の一つ」と言わしめた作品です。連載終了後も人気は衰えず、2014年と15年に2部作で映画化されました。
地球上に突如現れた謎の生物。人間の脳を乗っ取って体を操り、他の人間を捕食します。主人公は普通の高校生・泉新一。新一に寄生した生物は脳の乗っ取りに失敗して右手に宿り、「ミギー」と名乗って人間の行動原理や感情を学習。一方で新一も、ミギーの細胞と「混じる」ことで優しい性格に徐々に変化が……。
「『悪魔』というのを本で調べたが、いちばんそれに近い生物はやはり人間だと思うぞ」「わたしの『仲間』たちはただ食ってるだけだろう……生物なら当然の行為じゃないか」。ミギーの理屈がいちいち面白く、妙に納得させられます。
ホラーが大の苦手の私ですが、この作品だけは一晩で読んでしまいました。全てが凝縮された1巻を、まずは読んでみてください。昨日とは違う世界が見えてくるはずです。(ひ)
「こわい」と思いながら読み始めたが、スリリングな展開に目が離せなくなった。「人間VS最強の寄生生物」のアクションシーンがいい。自分が新一なら、右手に「ミギー」がすみついたらどうするだろう。(れ)
高い知能を持ち、人間の子どもを「実験」として産み育てる寄生生物・田宮良子が印象的。彼女が最期に示したものが「人間らしさ」なら、人間も捨てたものじゃない。(り)
「名作漫画は教養だ。」は、既に「教養」と呼べるレベルに達したと判断した名作たちを紹介します。ガイド役は「私の青春と言えば、ほぼ漫画だった」という編集部記者です。