15歳のニュース 米国 根深い黒人差別 白人警官が男性を拘束死 怒りの抗議

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 米国中西部ミネソタ州で5月25日、1人の黒人男性が、白人警察官にさえつけられて死亡した。この事件をきっかけに、全米でいかりの抗議こうぎが続いている。大統領は軍隊の投入をちらつかせ、被害者ひがいしゃの家族は平和的な活動をうったえてなみだぐんだ。「自由と平等の国」はどこに向かう?

I can′t breathe 動画が拡散

 まず今回の事件のいきさつから。5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで、黒人のジョージ・フロイドさん(46)が20ドル(日本円で約2200円)のにせ札を日用品店で使った疑いで手錠てじょうをかけられた。フロイドさんはうつぶせにたおされ、白人警察官から首をひざで押さえつけられて死亡した。「I can′t breathe(息ができない)」。必死のうったえにもかかわらず、8分間以上押さえつけられているフロイドさんの様子の動画がインターネットで拡散された。

Black Lives Matter 「黒人の命は大切だ」

 この事件をきっかけに、ミネソタ州をはじめ、ニューヨークやロサンゼルスなど米国の主要な都市では、多くの住民が、「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」などとプラカードをかかげて街にした。一部が暴徒化し、これまでにデモに乗じた略奪りゃくだつや、破壊行為はかいこういも起きている。

 この事態に、トランプ米大統領は1日夜、軍の投入も辞さない考えを示し「力による制圧」を宣言。首都ワシントンのホワイトハウスの近くで抗議活動こうぎかつどうを続けていた群衆に、鎮圧ちんあつ部隊が催涙さいるいガスを浴びせた。融和ゆうわではなく、分断や暴力をあおる大統領の姿勢は抗議活動のエスカレーションを招くと米国内で心配されている。

米国内のコロナ死者数、黒人が突出

 米国には今でも人種差別があるの? キミの疑問には、「残念ながらまだある」と答えるしかない。白人による黒人差別は奴隷どれい制度にさかのぼり、ようやく1950~60年代に公民権運動が起き、64年に人種差別を禁じる公民権法が成立した。その後差別はなくなってきているが、地域によっては根強く残る。そして、黒人が白人警察官の過剰かじょうな暴力で死亡するケースは再三繰り返されている。

 ただ、今回のデモの広がりと過激さは異例で、夜間外出禁止令が出された都市数は約40に上った。背景として指摘してきされるのが、新型コロナウイルスの感染であぶり出された米国の人種間の経済格差だ。感染者数と死者数が世界最多の米国では、黒人の死者の割合が他の人種と比べて突出とっしゅつしている。

 特に今回のデモが激化している都市部では、黒人をはじめとした人種的少数派マイノリティーが公共交通機関や食料品店など低賃金の仕事にき、外出制限の中でも感染の危険にさらされているケースが多い。米国に根強く残る差別が新型コロナで改めて露呈ろていする中、フロイドさんの事件で、くすぶっていた黒人の不満が一気に噴出ふんしゅつした形だ。


 ■KeyWord

公民権運動こうみんけんうんどう

 米国では19世紀の南北戦争を経て奴隷どれい制度が廃止はいしされたが、公共施設しせつでの白人と黒人の分離ぶんりや投票権をめぐる黒人差別は南部を中心に残った。1950年代半ば以降、マーチン・ルーサー・キング牧師らをリーダーに、人種差別撤廃てっぱいを求める運動が高まり、64年に公民権法が施行しこうされた。

白人はくじん警察官けいさつかん過剰かじょう暴力ぼうりょく

 米国では、「公権力」である警察官が黒人を殺害・暴行する事件がり返されている。世界的に有名なのは「ロサンゼルス暴動」だ。1991年3月、ロサンゼルス市警察の白人警官たちがスピード違反いはん容疑をかけた黒人男性(当時25さい)を集団で激しく暴行する様子が偶然ぐうぜん撮影さつえいされていた。翌92年4月に警察官に無罪評決が出ると、ロサンゼルスなどで暴動が発生。略奪りゃくだつ行為こういに発展し、50人以上の死者を出し、連邦軍れんぽうぐんも出動した。

 また、2014年にも中西部ミズーリ州で、白人警官が歩行中の黒人少年(18歳)を射殺する事件が起き、大規模な抗議こうぎ運動に発展。非常事態令が発令されて、200人以上が逮捕たいほされる騒動そうどうとなった。

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