15歳のニュース オコエ瑠偉選手の投稿に反響 普通とは何だろう

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 米国での人種差別抗議活動こうぎかつどうをきっかけに、プロ野球・楽天イーグルスのオコエ瑠偉るい選手(22)が15日、自らのルーツに関連して周囲から心ない言葉を受けた体験をツイッター上でつづり、大きな反響はんきょうを呼んでいる。改めて考えたい。普通ふつうって何だろう。

 オコエ選手はナイジェリア人の父を持ち、幼いころに野球を始めた。2015年のなつ甲子園こうしえんでは、関東第一かんとうだいいち高校の外野手として俊足しゅんそくを生かし、ベスト4の立役者の一人となった。16年にドラフト1位で楽天イーグルスに入団、プロ野球選手として活躍かつやくしている。

「同じ境遇の人の励みになれば」

 話題となっている文章は、オコエ選手の本人名義のツイッターアカウントで15日夜に投稿とうこうされた。最初に「おれだれも責める気は無い」とした上で、「おんなじ境遇きょうぐうの人、またその両親の少しでもはげみになればと思い、炎上えんじょう覚悟かくごで投稿します」と切り出した。5さいごろに保育園で絵本「みにくいアヒルの子」の読み聞かせの際、周囲にじろじろと見られた経験や、親の似顔絵を描く際に先生が「肌色はだいろりましょう」と言った時、なみだながらに茶色のクレヨンで親の顔を描いたことなどがつづられた。

 この時期は毎日がつらく「家のベランダから外をながめながら、ここから飛び降りて生まれ変わって、普通ふつうの日本人になれるかなとか、考えてた」とかえり「この普通とは何なんだろうといまだに考えてる」と記している。

「心が無くなる」

 小学生になって野球を始めてすぐに「先輩せんぱいたちは、俺の肌の色をあざ笑いながら、おまえの家では虫とか食うんだろとか、きたない言葉の数々でののしられ、なぐられる」という経験をしたこと。活躍した高校野球時代にも「甲子園こうしえんには黒人はでるな」といった周囲の言葉を聞いたという。オコエ選手は投稿で、こうした周囲の言動を受けて傷付く自分の感情を「心が無くなる」と表現。「今考えてみると、ただ心をシャットダウンして、他人に対して何の感情もかなくなるだけだった」と振り返った。

「いいね」19万2000件

 オコエ選手のこの投稿は、19日朝の時点で約5万件リツイートされ、約19万2000件の「いいね」がついている。ツイッター上では「『日本ではアメリカほど肌の色による差別はないだろう』と安易に考えていました」といった声や「私も黒人と日本人のハーフです。幼稚園ようちえんの時、肌色と自分の肌の色が全然違ちがうと思いながらみんなに合わせて肌色を使っていました」といった声が寄せられている。

外国にルーツを持つアスリート活躍

 近年はオコエ選手だけでなく、テニスの大坂おおさかなおみ選手やバスケットボールの八村塁はちむらるい選手、陸上短距離たんきょりのサニブラウン・ハキーム選手など、外国にルーツを持つトップアスリートの活躍かつやくが目立っている。2019年のラグビー・ワールドカップでは、多様な国籍こくせきの選手が「日本代表」として活躍した。多様なルーツをもつ人の文化について研究する専門家は毎日新聞の取材に「かれらの活躍を自然に受け入れる社会にするために、自分たちが何ができるかを考える時代がきている。はだの色や人種で差別するような言動を見かけたときに、『それはちがう』と日常の中で声をあげていくことが、異なるものを排除はいじょしようという空気への抵抗ていこうになるのではないか」と話している。


 ■KeyWord

米国べいこくでの人種差別じんしゅさべつ

抗議活動こうぎかつどう

 米国ミネソタ州で5月、1人の黒人男性が白人警察官にさえつけられて死亡した事件をきっかけに、全米で抗議活動こうぎかつどうが続いている。

 抗議活動に参加する人たちがかかげているのが「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」というスローガン。今回オコエ選手も自らの体験についての投稿とうこうに続いて、「#BlackLivesMatter」を投稿とうこうした。

関東第一高校かんとうだいいちこうこう

 東京都江戸川えどがわ区の私立高校。野球の強豪きょうごう校として知られ、なつ甲子園こうしえんで2015年はベスト4、19年はベスト8にかがやいた。

あわせて読みたい

購読のお申し込み

紙面ビューアーから「15歳のニュースデジタル」として1カ月たったの100円(税込み)で購読できます。タブロイド判4ページの週刊で、バックナンバーも約2カ月分が閲覧可能です。毎日小学生新聞の購読者には毎週土曜日に別刷りとして挟み込まれます。

申し込む