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15歳のニュース 新首相に菅さん 自助、共助、公助 国民のために働く内閣

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 16日に開かれた臨時国会で、自民党トップの菅義偉(すがよしひで)さん(71)が第99代首相に選ばれた。日本では約8年ぶりの首相交代だ。菅さんは、最近では数少なくなった、「たたき上げ」の政治家。さっそく、目指すべき社会の姿として、「自助、共助、公助」を掲(かか)げた。

 ■「七光り」と無縁 たたき上げ人生

 まず菅さんの生い立ちを紹介(しょうかい)。雪深い秋田県湯沢(ゆざわ)市で、イチゴ農家の長男として生まれた。地元の高校を卒業して家出同然で上京、段ボール工場で働いた。大学進学を決断し、お金をためて法政大学に入学。卒業後はいったん就職したが、26歳で政治の世界へ。議員秘書など下積みを経て、47歳で国会議員に初当選する。「エリート街道」や「親の七光り」とは無縁(むえん)の経歴の持ち主。派閥(はばつ)に属さず、世襲(せしゅう)でもない議員が自民党から首相となるのは異例だ。

 ■規制改革、デジタル化

 16日の国会で首相に指名された菅さんはその夜の記者会見で、「行政の縦割り、既得権益(きとくけんえき)、あしき前例主義を打ち破って規制改革を進める。国民のために働く内閣を作る」と強調した。「政権のど真ん中に置く」と意気込(いきご)みを示した規制改革については、行政改革担当相に任命した河野太郎(こうのたろう)さんに、「縦割り110番」の新設を検討するよう指示したと語った。また、現在は複数の省庁に分かれているデジタル化政策を進めるため、「デジタル庁」の新設を明言した。目新しさよりも経験重視で閣僚(かくりょう)を選び、新内閣に実務に詳(くわ)しい政治家を集結させた。

 頑張(がんば)った人が報(むく)われる「自助、共助、公助」の社会像を目指すと語った菅新首相。毎日新聞などの17日の世論調査では内閣支持率は64%だった。一方、競争と効率を重視する考え方には、「自己責任論の押(お)しつけでは」「格差が広がる」などの心配の声も。首相になれば、官房長官(かんぼうちょうかん)時代とは異なり、外交手腕(しゅわん)も重要になる。新型コロナウイルス対策や、落(お)ち込(こ)む経済など、山積する課題にどう立ち向かっていくのか。日本のみならず、世界が注目している。


「長官番」記者に聞いた、菅首相どんな人?

 菅新首相とはいったいどんな人なのか? 15歳のニュース編集部では、菅さんが官房長官(かんぼうちょうかん)時代に、「長官番」として1年間密着取材した毎日新聞の秋山信一(あきやましんいち)記者(39)に話を聞いた。

 Q 記者会見の映像などでは冷たく見えることもあるが?

 秋山記者:非常に礼儀(れいぎ)正しく、宿舎の受付の人や議員会館の警備員にもあいさつを欠かさない人。人を思いやる、優しい、という印象だ。近寄りがたい雰囲気(ふんいき)はまったくない。だが、仕事への姿勢は非常に厳しい。やると決めたことに対し、「前例がない」などと反発した官僚(かんりょう)を左遷(させん)する冷たさがある。官僚の言いなりにならず、国民に選ばれた政治家が主導すべきだという思いがあるのだろう。

 Q 圧勝だった総裁選を取材して感じたことは?

秋山記者:そもそも出馬すると思わなかった。安倍政権の番頭として優秀(ゆうしゅう)で、首相への野心を感じなかった。出馬を決めたのは、ここで引いてしまうと自分のやりたいことを実現できなくなる、と思ったのではないか。

 Q 首相としてのビジョンや国家観がないという声もある。

秋山記者:取材していて菅さんから国家観や歴史観を感じたことがない。一つ一つの政策を着実に行うことで、全体を豊かにしようという姿勢だ。実務的で、政治家としてのパフォーマンスが苦手だ。

 Q 首相として心配なことは?

秋山記者:官房長官時代には、多忙(たぼう)な中、いろいろな人とつきあい、なるべく現場の声を聞こうと努めていた。首相になると現場からさらに遠くなる。決めたらやり抜(ぬ)くという「猪突猛進(ちょとつもうしん)」型なため、良い助言が聞こえないまま間違(まちが)った方向に突(つ)っ走(ぱし)ると、大変なことになる。

 Q 昨年は側近だった菅原一秀(すがわらいっしゅう)経済産業相、河井克行(かわいかつゆき)法相(いずれも当時)が、公職選挙法違反(こうしょくせんきょほういはん)の疑惑で辞任した。

秋山記者:寄ってくる人を拒(こば)まず「人を見る目がないのでは」と思うことがある。新しい内閣の顔ぶれは、経験や能力重視で選んでおり、ほっとした。

 Q 菅新首相に期待することは?

秋山記者:「国民のために働く内閣」「縦割り110番」など、表現がいかにも昭和の雰囲気だが、中身のないキャッチフレーズよりは菅さんらしいと思う。一つでも多くの行政の問題を見つけて改革してほしい。現場の声を大事にしたい人なので、読者の皆(みな)さんも政策に矛盾(むじゅん)を感じたり、こうしたらもっと良くなると思うことがあれば、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで発信してはどうだろう。新首相が「理屈(りくつ)に合う」と感じれば、実現するかもしれない。


 ■KEY WORDS

 【行政(ぎょうせい)の縦(たて)割(わ)り】

 役所の部署の間で連携(れんけい)がとれておらず、同じような仕事をしていたり、責任のなすり合いが起こったりすること。また役人がいくつもの役所にまたがる問題に取り組むのをいやがったりすること。

 【規制改革(きせいかいかく)】

 市場における規制を取り除くことで企業(きぎょう)の競争を促(うなが)し、経済の活性化を目指すこと。安倍晋三(あべしんぞう)政権でも、成長戦略の「一丁目一番地」に掲(かか)げられていた。

 【縦(たて)割(わ)り110番(ばん)】

 菅(すが)首相からの指示を受けて、河野太郎(こうのたろう)行政改革担当相が17日午後3時ごろ、自身のホームページ上に開設した。誰(だれ)でも投稿(とうこう)できる。すべてのメールに河野さん本人が目を通すというふれこみで、無駄(むだ)な規制、仕事を妨(さまた)げている規制、役所の縦割りで困っていることなどの情報提供を呼びかけたところ、その日の午後11時ごろまでに3000通以上のメールが寄せられたという。意見を整理するため、新規の受け付けが18日に一時停止された。

 【総裁選(そうさいせん)】

 14日に投開票された自民党総裁選で、菅さんは全体の7割を超(こ)える377票を獲得(かくとく)した。岸田文雄(きしだふみお)政調会長は89票、石破茂(いしばしげる)元幹事長は68票だった。菅さんは国会議員票を伸(の)ばし、地方票でも6割強を獲得した。

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