15歳のニュース ワクチン接種 進まぬ日本 OECD37カ国中、最下位

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全日空機から降ろされた第3便の新型コロナウイルスのワクチン=成田空港で3月1日 拡大
全日空機から降ろされた第3便の新型コロナウイルスのワクチン=成田空港で3月1日

 なぜ、国内のワクチン接種が進まないのか? 新型コロナウイルスは、子どもにも感染力が強いとされる変異株の感染が拡大し、4月には東京など4都府県に緊急事態きんきゅうじたい宣言が発令され、死者は累計るいけいで1万人をえた。一方で、国内のワクチン接種率は、先進諸国で構成する経済協力開発機構(OECD)参加37カ国で最下位だという。

 衝撃しょうげき的な数字がある。英国オックスフォード大学の研究者がウェブ上で公開する4月27日時点のデータによると、人口100人当たりのワクチンの接種回数で、日本は2・55回だった。これはワクチン接種が進んでいるイスラエルの120・96回や米国の69・49回だけでなく、ドイツの31・89回、韓国かんこくの5・33回と比べても少なく、世界188地域の平均13・66回も大きく下回った。

河野太郎・行政改革担当相 拡大
河野太郎・行政改革担当相

安全確認に慎重

 ワクチン接種が進まない理由は何なのだろうか。ワクチン担当の河野太郎こうのたろう・行政改革担当相が26日、テレビ朝日の報道ステーションに出演し、「日本はこれまでのワクチンでいろんなことがあったため、日本人にとってこのワクチンが安全なのかどうかを確認しようという声が非常に強くありました」と述べた。

 安全確認に慎重しんちょうな日本は、欧米おうべいよりも3カ月遅おくれて治験が始まった。しかし、国内で接種が始まった2月ごろはワクチンの需要じゅようが世界で急激に増えたため、ファイザー社がいったん製造ラインを止めて増設したものの、一時的に入手が困難になったという。

 さらに河野さんは体制の問題にもれた。「英国は素人しろうとの人が15時間トレーニングしたらワクチンを打ってよい。米国は軍も使うし、大規模な接種会場を作って24時間接種している。日本は各自治体がお医者さんに協力のお願いをして歩いている状況じょうきょうです」。ワクチンを入手しても、多くの国民に迅速じんそくに接種するには、その体制づくりも大きな課題なのだ。

「9月まで」供給にめど

 政府はどのような対策を考えているのか。菅義偉すがよしひで首相は「我が国の対象者に確実に供給できるよう、米ファイザー社に追加供給を要請ようせいした。9月までに供給されるめどが立ったと考えている」と胸を張った。また、自衛隊による「国直轄ちょっかつ」の大規模接種会場を東京と大阪に設け、接種の担い手不足になやむ自治体への支援しえんにも力をそそぐ。

 ワクチン接種の遅れは、これ以外にも国産のワクチン開発の遅れや欧州連合おうしゅうれんごう(EU)がEU外へのワクチン輸出を承認制にしていることなど、多くの指摘してきがある。

 山積するこれらの課題をどう解決するか。今こそ、国民の暮らしを守る政治とは何かが問われている。


ワクチン接種 15歳以下も検討

 国内の新型コロナワクチン接種対象者は、治験結果のない15さい以下を除く約1億1000万人。そのうち、最初に接種が始まったのは約4万人の医療従事者いりょうじゅうじしゃで、その後、コロナ患者かんじゃに対応する医療従事者ら(約370万人)、次に65歳以上の高齢者こうれいしゃ(約3600万人)、基礎きそ疾患しっかんのある人(約820万人)や高齢者施設しせつで働く人(約200万人)、60~64歳の人(約750万人)と続く。

 15歳以下については、ファイザー社が3月末、ワクチンは12~15歳にも有効だとする治験結果を公表した。政府は今後、安全性の確認や厚生労働省の関係審議会しんぎかいからの意見をまえて接種対象に加える意向を表明している。


 ■KEY WORDS

 【ワクチンでいろんなこと】

 日本では子宮頸しきゅうけいがんなどの予防に使われるHPVヒトパピローマウイルスワクチンへの不安が、ワクチン接種全体の安全性への不信につながったとの指摘してきが少なくない。

 2013年4月、HPVが定期予防接種の対象となったが、接種後に痛みや倦怠けんたい感などの症状しょうじょううったえる人が相次ぎ、厚生労働省は6月、積極的にすすめることを中止した。それを受けて70%をえていた定期接種対象世代(小学6年~高校1年相当の女子)の接種率は1%を下回った。一方、海外ではワクチンにより子宮頸がんの発症はっしょうリスクが大幅おおはばに低下したことが報告され、今後、国内で患者かんじゃの増加を懸念けねんする専門家は少なくない。

 世界保健機関(WHO)はワクチン接種をけることは健康への「10大脅威きょうい」と位置づける。「接種率の低下は、ワクチンの安全性に対する不信が主な原因。政府や科学に対する信頼しんらい低下が影響えいきょうしている可能性がある」と指摘し、政府などに国民の信頼を高める努力を求めている。

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