15歳のニュース　安全保障の枠組み　米英豪が「AUKUS」創設

　オーストラリアが、米国、英国との3カ国の安全保障の枠組（わくぐ）み「AUKUS（オーカス）」を創設し、フランスとの次期潜水艦（せんすいかん）開発計画を破棄（はき）した問題が波紋（はもん）を呼んでいる。

　新たな枠組みは、軍事力を急速に拡大する中国に対抗（たいこう）する狙（ねら）いがあるとみられ、サイバーや人工知能（AI）などの分野で連携（れんけい）を深めるとともに、米国の技術支援（しえん）によりオーストラリアの原子力潜水艦（げんしりょくせんすいかん）保有を目指すとしている。バイデン米大統領が15日に発表し、翌16日にオーストラリアが潜水艦開発計画破棄を発表すると、フランスは猛反発を始めた。

　オーストラリアの次期潜水艦の開発計画は2016年、日本やドイツと受注競争の末、フランスを開発相手に選び、約400億米ドル（約4兆円）で契約（けいやく）を結んだ。

　契約時に国防相として署名したルドリアン仏外相は仏メディアに対し「両国は信頼関係（しんらいかんけい）を築いてきたのに、裏切られた」と非難。さらに、オーカス創設について「発表の1時間前まで知らなかった」と述べ、駐米（ちゅうべい）と駐豪（ちゅうごう）の仏大使を召還（しょうかん）すると発表した。

　欧州連合（おうしゅうれんごう）（EU）のボレル外務・安全保障政策上級代表（外相）も事前の相談がなかったとしたうえで、「フランスの失望は理解できる」と同調している。

　■KEY　WORDS

　【原子力潜水艦（げんしりょくせんすいかん）】

　原子力を動力源とする主機をもつ潜水艦。従来型の多くの潜水艦とは異なり、運転する際、酸素を必要とせず、強大な出力を持ち、核（かく）燃料はほとんど無限の航続力を持つことができる。このため、数年といった長期間の潜行（せんこう）能力を持ち、さらに水中速度や潜行できる深さなどの能力も飛躍（ひやく）的に向上した。核ミサイルなどの強力な武器を装備することで、空母と並び、今日の海軍の主力といわれる。

　【駐米（ちゅうべい）と駐豪（ちゅうこう）の仏大使（ふつたいし）を召還（しょうかん）】

　ルドリアン仏外相は、オーカス創設について「事前にフランスと協議したと説明する米国の説明は事実ではない」と強調。バイデン米大統領について、「ツイートしないトランプ」とやゆした。英国の大使召還をしなかったことに関しては「英国のいつものご都合主義は知っている。やっても意味がないことだ」と述べた。