15歳のニュース 女子の制服、パンツOK 都道府県立高校で44.4%

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女子のスラックス制服=菅公学生服提供 拡大
女子のスラックス制服=菅公学生服提供

 制服が指定されている都道府県立の全日制高校3073校のうち、44.4%にあたる1365校で、女子が「スラックス」を自由に選べることが、CCCマーケティングとTポイント・ジャパンの調査でわかった。都道府県別に可視化したことで、多くの人が「選べる制服」の現状を知り、自分ゴトとして考えるきっかけにしてほしいとしている。【石塚孝志】

 都道府県別の自由に選べる高校の割合は、長野87・8%▽滋賀86・4%▽神奈川84・3%がトップ3。一方、青森、愛媛、岩手は10%未満だった。トップ3県の教育委員会の話からは、性の多様性への意識の高まりに加え、防寒や動きやすさ、自分らしさ――などさまざまな理由が見えてくる。

「寒いから」「多様性重視」

 長野県教委の担当者は一言「冬が寒いからです」。数十年前から女子のスラックス姿は普通ふつうに見られ、近年、急速に増えたわけではないという。「ジェンダーなどの視点から、今年はさらに採用が増えているようです」

 滋賀県教委によると、小学校では自由にズボンを選んでいた女子生徒たちが、中学校ではスカートしか認められないのはなぜかという声が出て、現在、中学校のほぼすべてで女子のスラックス制服が認められ、高校でも多く採用されているという。また、県からLGBTQへの配慮はいりょ啓発けいはつしている関係もあり、高校が制服を見直す際に、えり・セーラー服から、上下の組み合わせが容易なブレザーへの変更へんこうが増えているという。

 神奈川県教委の担当者は「県教委として指導しているわけではないが、寒さ対策というよりも、やはり性の多様性やSDGs(持続可能な開発目標)などの考えが普及ふきゅうするなかで、人権への意識を高め、各学校で判断されたのではないか」と話している。

きっかけは2015年

CCCマーケティング「学校総選挙プロジェクト」提供 拡大
CCCマーケティング「学校総選挙プロジェクト」提供

 「カンコー学生服」のブランドで知られる制服メーカー大手の「菅公かんこう学生服」(岡山市)によると、女子用スラックスを制服として採用した学校は、1996年度はわずか4校(中学2校、高校1校、その他1校)。その後、新規で年間50校程度増え続けたが、2018年度は125校、19年度は290校、20年度は324校と急増し、計1410校になったという。特に20年度は、新規採用時の9割以上の学校で女子スラックスが採用されたという。

 広報担当者は「近年の増加は、15年の文部科学省からの性同一性障害の児童生徒へ『きめ細かな対応』を求める通知の影響えいきょうがあったと思われます。そのころから検討が始まり、実際の採用に至ったのがここ数年の増加に表れているようです」と話している。


 ■KEY WORDS

 【調査ちょうさ

 若い世代と政治・社会をつなぐ「学校総選挙プロジェクト」の一環いっかんで6~9月に都道府県教育委員会の協力を得て調べた。スラックスを希望した場合でも、トランスジェンダーの生徒が実質的なカミングアウトになることをけるため、「異装届」や「特別な理由の提出」が必要な学校や、男子用制服の着用を求める学校は「女子スラックス制服の採用なし」として集計した。

 【LGBTQエルジービーティーキュー

 英語のレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれたときの性別と、自らが認識する性別が一致いっちしない人)、クエスチョニング(自分の性が定まっていない人)やクイア(性的少数者を総称そうしょうする表現の一つ)の冒頭ぼうとうのアルファベットを並べた略語で、性的少数者を指す。

 【SDGsエスディージーズ持続可能じぞくかのう開発目標かいはつもくひょう)】

 国連がかかげる2030年までの国際的な行動目標。15年の国連サミットで採択さいたくされた。「だれ一人取り残さない」を基本理念に、環境破壊かんきょうはかい人権侵害じんけんしんがいをなくし全ての人が豊かに暮らす世界の実現を目指す。貧困や飢餓きが廃絶はいぜつ、水資源、ジェンダー平等、環境保全かんきょうほぜん、地球温暖化関連など17の目標がかかげられている。

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