「15歳」のキミたちは、今どんなことに興味があるかい? そして、どんなものが好きだろうか。キミたち「Z世代」(1990年代後半~2010年前後生まれ)の関心事が、さまざまなヒットを生み出し、注目を浴びている。生まれた時からインターネットが身近にあり、ネット交流サービス(SNS)を日常的に使いこなす「真のデジタルネーティブ」で「スマホ世代」。そんなZ世代は新しい年、何を求めるのか。「Z世代の2023」を予測し、次のトレンドのヒントを探った。
清走中 社会貢献活動=ごみ拾い×ゲーム
Z世代は、子どものころから「誰一人取り残さない社会」を目指すSDGs(持続可能な開発目標)を授業で学んできた世代だ。そのため、今の大人たちの世代より、社会に貢献できる活動を「当たり前にやること」として捉えている。そんな一人でもある北村優斗さん(19)は「もっと社会活動に参加するための心理的ハードルを下げたい」と考え、ごみ拾いとゲームを融合させた「清走中」を2020年7月にスタートさせた。街中のごみ拾いをしながら無料通信アプリ「LINE」に送られてくるミッションをクリアしていく内容で、自治体や企業などの依頼を受けて全国で開催されている。参加者は「ごみ拾いのボランティア」と身構えずに楽しく参加しているという。
大学入試では、総合型選抜(旧AO入試)で「勉強以外にどんな活動に取り組んできたか」が問われるようになり、学校は「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)を進める。北村さんは「社会活動をやってみたいという裾野は広がっている。その一方で、ボランティアは学生時代の課外活動や大学受験のためにやるものになってしまうともったいない。社会活動自体が仕事につながるようにしていきたい」と話す。
勉強中 学習=スマホ×動画 コンテンツ増、広がる選択肢
新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校を経て、教育分野にもインターネットが大きく普及した。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、「とある男が授業をしてみた」という中高生に人気の授業動画を公開する葉一さん(37)も、その変化を感じている。「学びの選択肢に紙の教科書や問題集だけではなく、動画コンテンツが入った。特に親の意識が変わり、動画を『見る、見ない』の選択ではなくて、『どういうコンテンツを選ぶか』になっている」と葉一さんは話す。
授業動画などを提供するオンライン学習サービス「スタディサプリ」も現在、全国の高校の約4割に導入されている。リクルートで「スタディサプリ」のサービス責任者、池田脩太郎さんは「動画を活用することで、先生は生徒に対して、授業で理解しきれなかった分野の学び直しなど、ぞれぞれに一番合った学習を促すことができる」と説明する。
先生や親の意識が変わっていくことで、学習動画の利用はより低年齢化していくものとみられる。葉一さんは「動画での学びの年齢層はさらに広くなる。数年後には小学生にも定着していくのではないか」としている。