森村潘 フォロー ジャーナリスト 大手新聞、雑誌編集などを経てコミュニティー紙の編集などに携わる。ジャンルを超えて音楽を研究、アメリカ文化にも詳しい。 (経歴は原則、執筆当時のものです) 椎名林檎「化粧直し」から伝わる“孤独と寂しさ” 「個性的」という形容詞がよく似合う、シンガー・ソングライターの椎名林檎。彼女が「化粧直し」という曲のなかで歌っている。 ♪… 喜びも悲しみも浄化 レナード・コーエン「ハレルヤ」 なぜかわからないが切なさがこみあげてきて、ある種の感情の高まりを感じるメロディーがある。それが「ハレルヤ(Halleluj… マイク真木「バラが咲いた」モダンフォークの先駆け 日本でフォークソングがはやりはじめた1960年代後半、「バラが咲いた」は象徴的な歌だった。66年、新人のマイク真木がギター… 上田正樹「悲しい色やね」大阪はどうして切ないか ご当地ソングというものがある。地名や名所が入ったわかりやすい歌から、方言が使われているものなど、土地になじみのある歌詞で、… つらさ優しさ重ね合わせたル・クプル「ひだまりの詩」 那覇の居酒屋で、「切ない歌」についてカウンターで知人や店の常連と話していたら、「うまくいえないんだけど、なぜかあの歌を聴く… ソウル界の悲劇のレジェンドが歌う「孤独感と諦め」 春が来て、多くの人が新しい生活をはじめる。なかには、思いがけず遠いところへ赴任したり、転勤になった人もいるだろう。「なんで… スティング「フラジャイル」人のはかなさ暴力の非道さ 平昌オリンピック開催中、中東シリアでアサド政権による反体制派への空爆などで一般市民が多数亡くなった。2月18日からの10日… チューリップ「サボテンの花」つらい時を乗り越えた後 この冬は全国的に長く冷たい。北陸の知人は、暖房費が例年の倍だと閉口し、青森の友人は「こうずっと雪が続くとさすがに嫌になる」… 地吹雪にきく津軽三味線の名手・竹山「じょんから節」 冬の津軽平野をレンタカーで走ることになったとき、地元の人から「吹ぐから気をつけて」と言われた。「吹ぐ」とは地吹雪が舞うこと… ザ・イエロー・モンキー「JAM」若さゆえの身もだえ 自己否定の暗闇から理想を見いだそうとした作家・高橋和巳(1931~71年)が、青春についてこんなことを書いていた。 「青年… 「ラストダンスは私に」好きにしていいけれど最後は… 卒業や旅立ちの季節をそろそろ迎え、さまざまな別れの会が開かれることだろう。そこでのやりとりもいろいろだろうが、たとえばその… 「アランフェス協奏曲」スペイン的深い憂愁と哀切 真冬にバックパックを背負ってヨーロッパを旅したことがあった。スペインの地中海沿いから鉄道を利用し北上した。もう少しでマドリ… 竹内まりや「駅」偶然の出会いと胸に詰まる思い 師走の駅で、足早に過ぎてゆく人の群れ。そのなかに、別れた人に似た面影を見てはっとする。冷静になればもうずいぶん昔のことだし… 「君の瞳に恋してる」悲しいくらい好きな彼女への思い 軽やかにアップテンポで、前向きな歌詞の曲でも、どこか切なさを感じるときがまれにある。たとえば、「Can't Take My… 白一色の世界と通りすぎる思い出「雪の降るまちを」 北の町では今年も雪の季節を迎えているが、歌の世界で雪はどんなふうに登場しているのだろう。 有名な「なごり雪」では、駅のホー… むなしさとはかなさが入りまじるタンゴの名曲「忘却」 「忘却とは忘れ去ることなり。忘れえずして忘却を誓う心の悲しさよ」。その昔NHKのラジオドラマ「君の名は」(1952~54年… ビートルズ「ミッシェル」憂いと哀愁、そして懇願…… 永遠のロックグループ、ビートルズ。ジョン・レノンとポール・マッカートニーというふたりの曲作りの天才によって、世に送り出され… 探し続ける思いを歌う山崎まさよし「One more time …」 何かを、あるいは誰かを探し続けるというのは切ないものだ。まして見つかるかどうかわからないのに、探し、追い求めるのは痛々しく… 童謡「月の沙漠」人生の旅もまたどこへ行くのか 「 ♪ 月の沙漠(さばく)を はるばると 旅の駱駝(らくだ)が ゆきました」 有名な童謡「月の沙漠」の歌いだしである… 離れゆく2人を切なく歌う杏里「オリビアを聴きながら」 たいていのことには、始まりがあれば終わりもある。始まりに比べれば終わりの方が、寂しかったり切なかったりする。だから、終わり… 切なく響く「ホテル・カリフォルニア」夢と現実の落差 ときどき店先でライブ演奏をしている近くのカフェ・レストランからエレキギターのイントロが聞こえてきた。よくコピーされるロック… 青春の光と影を思い出す石川セリ「八月の濡れた砂」 夏も残り少なくなってきた。ぱっとしない天気が続き、自分の夏もぱっとしなかったなと、振り返っている人もいるだろうし、忘れられ… ムスタキも日系米国人3世も歌ったあの広島の夏 忘れていた歌を、ふとしたきっかけで思い出すことがある。ジョルジュ・ムスタキ(Georges Moustaki)の「ヒロシマ… 肌に突き刺さるジャニス真夏の官能「サマータイム」 「夏にちなんだ名曲」が、ラジオなどでよく特集されている。人によって時代によって選曲はさまざまだが、そのテーマはいくつかの種… イーストウッドが描く男の人生と孤独「グラン・トリノ」 家族や恋人同士の愛情物語でもなければ、英雄譚(たん)でもないし、戦争や死や極端な状況下の悲話でもない。だが、静かな感動を呼… 不条理への怒りと楽観「ノー・ウーマン、ノー・クライ」 カリブ海に浮かぶ、秋田県ほどの小さな島国ジャマイカが生んだスーパースター、ボブ・マーリー(Bob Marley)は、36年… だれもが“夜の星”を見上げた昭和と坂本九の時代 NHKの朝ドラ「ひよっこ」を見ていて、主人のみね子やその友人、家族のけなげな姿に、ときどき胸がジーンとくることがある。 そ… 一人酒のわびしさと郷愁「横浜ホンキートンク・ブルース」 夕方から夜にかけて、ぶらり町を歩くにはいい季節になってきた。横浜・桜木町から“赤レンガ”の方へ向かい、港沿いを行くと大桟橋… 辺野古への思慕と哀惜を歌う「島に吹く風~二見情歌」 沖縄県北部の辺野古の静かな海が、いま新たな米軍基地建設のために埋め立てられようとしている。いちど埋め立てれば、二度と復元は… 切ない愛を逆の言葉で「マイ・ファニー・バレンタイン」 ある時電車のなかで、女子中学生2人が両親のことをあれこれ話していた。そのうち一人がこう言った。 「それで、うちのお母さんが… ペギー葉山「つたのからまるチャペル~」と学生時代 ペギー葉山さんの訃報とともに、彼女の代表曲の一つである「学生時代」を聞いて、遠い昔のある光景を思い出した。 この歌が発表さ… 歌い継がれる「スローバラード」と忌野清志郎の夢 イントロを聴いた瞬間に、ぞくっとくる。忌野清志郎(RCサクセション)の「スローバラード」は、まぎれもなくそういう名曲だ。一… 「今夜ほど寂しい夜はない」人が去りゆく春と浅川マキ なんとなく毎日が過ぎていく、それも結構速く過ぎていく。なんだろうなと意味もなく、時の移ろいに、夕焼けを見るような寂しさを感… 時代と国境を超えた「カーペンターズ」の美しい歌声 これまで何人ものポピュラー音楽の女性歌手にインタビューしてきて、彼女たちにとって好きな歌手、あこがれの歌手としてその名がも… 青春の迷いと焦燥を歌う「サウンド・オブ・サイレンス」 町の図書館に行ったら、季節柄か、特設コーナーに「卒業」をテーマにしたさまざまな本が並べられていた。そのなかに「『卒業』Pa… “ナガレモノの哀しみ”を歌う八代亜紀「五木の子守唄」 演歌や歌謡曲の大御所が歌うジャズには、人の心をぐっとつかむ力がある。若いころはジャズやポップスを歌い、プロになるため歌謡曲… オフコース「さよなら」に漂うあきらめともの悲しさと いつごろからだろう。日本でも、男女が路上で平気でキスしたり、派手に抱き合ったりするようになったのは。バブル経済が崩壊した1… 公演裏方を優しくねぎらう「ザ・ロードアウト/ステイ」 「縁の下の力持ち」は、いたるところにいる。だが、文字通り「縁の下」だから、ふつうは見えない。会社でも地域コミュニティーでも… 28年の時がいとおしく寂しいSMAP「夜空ノムコウ」 1年が過ぎ去り、また新しい年を迎える。時の流れだけは止めようがない。「あれからずいぶんたったね」とか、「若いころは……」と… 誰もが思い出すそれぞれの「クリスマス・イブ」 今年もまちなかにクリスマスソングが流れはじめた。年の切り替わりに向かって、ちまたでは、この時期ならではのせわしさと心躍るよ… 「ミスター・ロンリー」で孤独をかみしめる秋の夜長 夜が長くなってきた。深夜にひとりでいると、「あー、人間は孤独だな」とつぶやいてみたくなる。今なら友だちに電話やメールで連絡… 名曲「枯葉」でよみがえる人生の思い出と感傷 美しさと、はかなさは表裏一体だ。晩秋の色づく木々の葉は、きれいだなと思っているとやがて一枚一枚落ちて風に舞う。枯れ葉となっ… やけっぱちな私に優しかった「タクシードライバー」 タクシー運転手との出会いは、ほとんどその場限り、一期一会だ。だからなにげない話、どうでもいいような話のほかに、誰にも話した… ノーベル文学賞沈黙でもディランの音楽性は不変 ノーベル文学賞受賞が決まったボブ・ディラン。賞の発表にあたって、スウェーデン・アカデミーのサラ・ダニウス事務局長は「口語で… 杯を片手に聴きたい桑名正博「月のあかり」 アメリカ・コロラド州のデンバーで、それはそれは明るい月夜にであったことがある。秋の夜のことで、見たこともない大きな美しい月… 「イパネマの娘」ジョビンのもう一つの名曲「愛の語らい」 リオデジャネイロ五輪の開会式では、ボサノヴァの代表曲「イパネマの娘」が演奏され、式場につめかけたブラジル国民が歌い、モニタ… 日本人の心に染みる「赤とんぼ」の郷愁と叙情 蒸し暑い日は続くが、朝夕の風はたしかに秋めいてきた。街によって、毎夕決まった時間に、鐘の音やなじみの音楽を流すところがある… 「避暑地の出来事」で描かれたある夏の日の恋 夏の終わりは寂しい、なんて言葉は陳腐だが、海沿いを歩いていて、トンボがたくさん夕暮れ空を飛び交うのをみると、たしかにそんな… ざわわと揺れる沖縄の「さとうきび畑」と71年前の夏 「毎年この時期にこの歌聴くと切なくなるの」。切ない歌についていろんな人に話を聞いているなかで、ある50代の女性がこう漏らし… 苦しみを浄化するサザンの名曲「真夏の果実」 “切なさ”とは何か、あらためて考えてみる。「切ない=(寂しさ、悲しさ、恋しさなどで)胸がしめつけられるような気持ちだ。つら… 少年時代のあの夏がよみがえる「スタンド・バイ・ミー」 夏も盛り、若い人にはまた夏休みがやってくる。もうそれほど長い休みをとれない大人たちは、「あー、あのころはおもしろかったなあ… 柳ジョージが残した名作「雨に泣いてる」 蒸し暑く、うっとうしい雨の季節を迎えた。雨と音楽といえば、寂しげな曲を思い浮かべがちだが、ミュージカル映画の名作「雨に唄え… 珠玉の父娘デュエット「アンフォゲッタブル」 6月19日の日曜日は父の日。親子の関係は人それぞれだが、父と子は、母と子の関係に比べれば、一般に堅苦しいところがあるのは確… 「さよならあなた〜」雪と涙の青函連絡船 ◇阿久悠、三木たかし、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」 北海道新幹線がこの春函館まで開通して、北海道と本州がまたぐっと近づ… 吉田拓郎「制服」は大都会で働く若者への応援歌 街路樹の緑が膨らみ、シャツ一枚で過ごせるすがすがしい季節となった。だが、五月病という言葉があるように、この時期ならではの“… 取り戻せない喪失感を歌った沖縄歌謡「十九の春」 あなたは、19歳の春にどんな思い出がありますか。19歳の春に戻りたいと思いますか。大人(20歳)になる直前の春に。♪わたし… 「さくら」の花びらでよみがえる青春の甘さと苦さ 首都圏のさくらはほぼ散ったが、東北、北海道はこれから見ごろになる。毎年、さくら前線が日本列島を通過して、花が咲き散っていく… 青春の別れをまっすぐに歌った「なごり雪」 三陸海岸が大震災に襲われるよりはるか前のこと。ちょうど今ごろの季節、旅の途中で降りた宮古駅で見た光景が忘れられない。 そろ… 「卒業写真」を聴いて、卒業アルバムを開いてみる 若かったころに思いをはせる、昔はよかったとつぶやく−−それだけならただのノスタルジーだが、「あのころと比べて自分はずいぶん… 「蛍の光」が歌い上げる出会いと別れの切なさ 「卒業」の季節がやってきた。さわやかで華々しい「入学」に比べ、卒業は喜びや安堵(あんど)と同時に、一抹の寂しさがある。 い… 心を打つ名曲「風になりたい」のすがすがしさ いい歌の多くは切ない。切なさは人の心を揺さぶる。だが、同様に人の心を打つ要素はほかにもある。切ない歌の周辺をさぐる前に、い… サザン「いとしのエリー」は誰にとっても切ないか 「あなたにとって切ない歌とはなんですか」「好きな歌で切ない歌はなに?」−−いろいろな人に、かれこれ1年以上こう尋ねてきた。…