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地域の思いを閉じ込めた、果汁あふれる生レーズン

小高朋子・旅食ライター・カメラマン
レアドライ生レーズンサンド。大粒でぎっしりしている=小高朋子撮影
レアドライ生レーズンサンド。大粒でぎっしりしている=小高朋子撮影

 果肉が柔らかくジューシーで、ジュワッと口の中で果汁があふれだす。葡萄屋kofuの「レアドライ生レーズン」(50グラムで540円)は、今までのレーズンの概念を覆す、一度食べたら忘れられない味だ。

甲府市・葡萄屋kofuの「レアドライ生レーズン」

 通常、レーズンの水分含有量は15%程度だが、レアドライ生レーズンは70〜80%で仕上げられている。そのため、生食用のブドウの食感に近く、乾燥させているのでうまみも凝縮され、香りも強い。こうしたレアな状態を保つのはとても難しいのだが、試行錯誤を重ねた結果、約2年の賞味期限を可能にした。まさに、奇跡のレーズンと言える。

 原料には山梨県産のピオーネ、ロザリオビアンコ、巨峰、藤稔、カベルネ・ソービニヨンなどを使っている。他にも、品種の違いを生かしたブドウジュースなど地域の素材でこだわりの商品を展開している。2015年6月には、甲府市産レーズンを使った「こうふのまちのレーズンサンド」(1個194円)が、地域ブランド「甲府之証(こうふのあかし)」に認定された。

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旅食ライター・カメラマン

1982年、神奈川県生まれ。アパレル業界、映像製作会社を経て、フリーランスに。持続可能なモノづくりの可能性を求めて各地を巡り、地域の食文化、工芸品、産業などを取材し、写真、映像も用いてその魅力を紹介している。現在、農業者向けのビジネススクール(オンラインアグリビジネススクール)にかかわり、各地の農業現場の取材を担当。旅と、おいしい食べものと日本酒が何よりも好き。