ITが変えるビジネスの近未来

アプリが救う命、変貌する救急救命現場

林信行・ITジャーナリスト
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タブレット端末で「救急医療情報システム]強化を図る埼玉県の記者会見
タブレット端末で「救急医療情報システム]強化を図る埼玉県の記者会見

 今、スマートフォンやタブレットの登場で医療の世界が大きく変わろうとしている。ただカルテ管理に使われるだけの話ではない。実際に医療の現場で起こっていること、起こりつつあることを実在のアプリを例に描いた。

 例えば、ある人が散歩中に倒れたとする。脳卒中の恐れがあった彼は、あらかじめ「i-Stroke」(アイストローク、富士フイルム)というアプリをスマートフォンに入れていた。緊急時、ボタンを押せばかかりつけの医師や家族に連絡がとれるだけでなく、医療情報も送信されるよう準備していたのだ。

 かかりつけの医師は連絡が取れない状態だったが、家族が消防に伝え、救急車がやってきた。これまでは受け入れ病院が見つかるまで、救急車の中から病院一軒一軒に電話をかけて確認する必要があった。しかし2011年、佐賀県が県内すべての救急車にiPadを導入して以降、一覧表から瞬時に受け入れ可能な病院を見つけられるようになり、搬送時間の短縮に結びついた。この仕組みは奈良県や埼玉県などでも取り入れられ、全国に広…

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林信行

ITジャーナリスト

1967年生まれ。アップルやグーグルの動向や技術、製品を継続的に取材対象としており、情報技術分野のテクノロジーに明るい。近年は、自動車やファッションなどのさまざまな業界におけるIT活用の取り組みに関心を持ち、人々の暮らしや社会にもたらす変化をテーマとしている。著書多数。