農業問題リポート

JA全中会長選に見る「農政トライアングル」の崩壊

綿本裕樹・農業ジャーナリスト
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今年4月、首相官邸で安倍晋三首相と会談したJA全中・万歳章会長(左)
今年4月、首相官邸で安倍晋三首相と会談したJA全中・万歳章会長(左)

 「先ほど役員推薦会議で開票が行われ、新たな会長候補として奥野長衛(おくの・ちょうえ)氏を推薦することが決まりました」

 7月2日午後、東京・大手町のJAビル3階会議室で全国農業協同組合中央会(全中)の万歳章(ばんざい・あきら)会長(69)の最後の記者会見が行われ、万歳会長の重々しい声が響いた。この日行われた会長選で、三重県農協中央会会長の奥野氏(68)が万歳氏の後任になることが確定したのだ。正式就任は8月11日となる。

 今国会で審議中の農協改革関連法案が成立すれば、農業界の頂点に君臨してきた全中の組織や権限は大きく変わる。通常の会長人事なら新聞の扱いもベタ程度だが、節目の交代とあって翌日の各紙は解説付きで大きく報じた。だが、会長選のニュース性を高めたのは農協改革だけではなかったのだ。

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綿本裕樹

農業ジャーナリスト

大手メディアに長年在籍した経歴があり、約30年にわたり農業問題に関心を持ち、取材を深めてきた。現在は週刊エコノミストなどに記事を寄稿している。