政治・経済良い物をより高く売る経営

松下幸之助の「水道哲学」はもはや通用しないのか

中村智彦 / 神戸国際大学教授

 「より良いものをより安く」を金科玉条のように私たちが思い込んだのは、そう昔のことではない。この元ネタというべき言葉は、「よい品をどんどん安く、より豊かな社会を」というダイエーの企業理念である。このダイエー創業者が中内功氏(1922〜2005年)である。

戦後の2大経営者「松下幸之助vs中内功」

 前回、経営者は「より良いものをより安く」から脱却する必要があると指摘した。多くの経営者は「分かっているが、そんなに簡単にできるわけがない」とおっしゃることだろう。筆者も難しいことは分かっている。しかし、これからは経営者自らが「より良いものをより高く売る」という姿勢を持たなければ、生き残ることは難しい。

 ダイエーの中内氏は、メーカーが定価販売を義務付けていた時代に、販売価格は流通業者が決定すべきだと主…

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中村智彦

中村智彦

神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、日テレ系「世界一受けたい授業」の工場見学担当も務める。

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