海外特派員リポート

米年末商戦「ブラック・フライデー」6兆円が動く

平地修・毎日新聞経済部部長(元ワシントン特派員)
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歳末セールで大勢の買い物客が詰めかけたワシントン近郊のショッピングモール
歳末セールで大勢の買い物客が詰めかけたワシントン近郊のショッピングモール

 「それじゃあ、行ってくるね」。米国赴任中の感謝祭の日。夕食に呼ばれた米国人家庭で、ターキー(七面鳥)などのごちそうを食べ終えた学生の姉弟はいそいそと出かけていった。恒例の「Doorbuster(ドアバスター)」だ。

 米国では11月第4木曜日の感謝祭の翌日に、年末商戦が幕を開ける。百貨店やスーパー、家電量販店などが一斉にスマートフォンやタブレット、衣服やアクセサリーなどを大幅に割引販売する。ドアバスターは、店舗のドアを壊すほどの勢いで客が押しかけるさまを指し、店舗は軒並み黒字になるので、「ブラック・フライデー」とも呼ばれる。

 近年では小売業界の競争が過熱し、感謝祭当日の夜にセールを始める小売店が相次いでおり、各家庭で冒頭のような光景が一般化している。全米小売業協会によると、昨年の感謝祭から日曜日までの週末に1億3000万人以上が買い物をし、売上総額は約510億ドル(約6・3兆円)に上る。

 3年間の暮らしの中で、米国は「消費天国」であるとつくづく感じた。年末商戦以外にも、さまざまなイベントごとに買い物を楽しむ文化が染みついている。独立記念日などにも各店はセールをするし、10月のハロウィーン前には、仮装を楽しむためにパーティーグッズ専門店は大にぎわいだ。長男の5歳の誕生日パーティーを開いたところ、帰りの車のトランクは山のようなプレゼントでいっぱいになった。

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平地修

毎日新聞経済部部長(元ワシントン特派員)

1968年北九州市生まれ。早稲田大学法学部卒。92年毎日新聞に入社。西部本社筑豊支局、熊本支局、福岡報道部、西部本社経済部を経て、05年に東京本社経済部。金融や財政、エネルギーや通商政策などを担当。11年10月にワシントン特派員として赴任。14年10月に帰国し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の取材などに当たる。20年4月から現職。