ベストセラーを歩く

「村上さんのところ」で知る村上春樹的生き方

重里徹也・文芸評論家、聖徳大教授
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昨年出版された短編集「女のいない男たち」を手に取る村上ファン=東京都新宿区の紀伊国屋書店新宿本店で2014年4月18日
昨年出版された短編集「女のいない男たち」を手に取る村上ファン=東京都新宿区の紀伊国屋書店新宿本店で2014年4月18日

 村上春樹は接するのが極めて難しい作家だ。長年、文芸記者をしたが、こういう書き手は現在の日本では他にいない。容易に取材に応じないし、講演会もめったにやらない。文学賞の選考委員もやらないし、文学賞を受賞しても、授賞式には出席しない。

 ところが、日ごろは読者やメディアの前にあまり姿を見せない代わりに、突然、集中的に人々と接することがある。メールで読者からの質問に答えたり、京都大学で長時間、講演をしたり。

 このほど刊行された「村上さんのところ」(新潮社)もそんなものの一つだ。村上が愛読者と交わしたメール…

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重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。