高齢化時代の相続税対策

「愛人に全財産を譲る」と遺言したら、どうなる?

広田龍介・税理士
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 最近の相続事案を見ていると、いろいろな問題が複雑に絡んでいると感じる。少子高齢化はその典型だ。相続人の不在や認知症、介護−−さらに夫婦の約3組に1組が離婚(2014年、厚生労働省人口動態統計)するなど、相続に直接関わる家族の問題は複雑で多様になっている。

 また、13年には憲法違反の最高裁決定を受けて民法の一部が改正され、嫡出子(婚姻関係にある夫婦の間の子供)と、非嫡出子(婚姻関係にない男女の間の子供)に相続区別がなくなり、相続割合は同じになった。社会の変化、制度の変化は相続問題をいっそう複雑で微妙なものにしているといえるだろう。

 そんな時代だからこそ、財産の多寡に関わらず、遺言書で自分の財産の行方を示し、「争族対策」をしておくことが重要だ。財産をめぐって争いが起これば家族は崩壊してしまう。遺言書で相続財産の取得者を特定することで、税制面の特例をフルに生かすこともできる。不要な争いを避け、円満な相続を実現するためにぜひ遺言書を活用してほしい。

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。