経済プレミア・トピックス

TPP合意見送りの背景に米国の指導力不足

松倉佑輔・毎日新聞経済部記者
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合意見送りが発表された合同記者会見=松倉佑輔撮影
合意見送りが発表された合同記者会見=松倉佑輔撮影

 7月末に開かれた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の閣僚会合は合意が見送られた。ハワイ・マウイ島の会場には各国政府の交渉団をはじめ、多くの報道陣や業界団体が乗り込んだ。決着への期待が高まる中、4日間の交渉であっさりと先送りが決まった。背景には米国のリーダーシップの欠如があった。マウイ島で交渉の行方を追った毎日新聞経済部の松倉佑輔記者が報告する。

 幸先は悪くなかった。交渉参加12カ国は閣僚会合の下準備のため首席交渉官を先んじてハワイ入りさせた。市場開放を拒み「最大のリスク要因」(政府関係者)とされていたカナダが一転、交渉に応じる姿勢を見せ始めた。27日に現地入りした甘利明TPP担当相は、鶴岡公二首席交渉官から「12カ国が同じ思いでスケジュール感をもって協議に臨んでいる」と報告を受ける。甘利氏は報道陣に対して「この閣僚会合を最後にしたい」と強調した。

 翌28日から始まった閣僚会合。会場は、マウイ島西部のリゾート地・カアナパリのホテル。日本からは政府関係者約100人に加えて、報道陣140人、農業団体や経済団体など100人が近くに陣取った。短パンや水着姿のリゾート客が行き交うホテルのロビーで、スーツ姿で行き交う交渉官や、ノートパソコンをせわしなくたたく報道陣は浮いていた。

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松倉佑輔

毎日新聞経済部記者

1981年、福井県生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科を修了後、2007年に毎日新聞社に入社。高松支局、社会部横浜支局を経て2013年より東京本社経済部。自動車・鉄鋼・化粧品などの民間企業、経済産業省などを担当。現在は、環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉、農林水産行政などを取材している。