良い物をより高く売る経営

日本を支えた下請け中小企業が失った牙

中村智彦・神戸国際大学教授
  • 文字
  • 印刷
松下電器中央研究所のオートメ機械設計室=大阪府門真市で1960年10月17日、野本久夫撮影
松下電器中央研究所のオートメ機械設計室=大阪府門真市で1960年10月17日、野本久夫撮影

 なぜ、中小企業の経営者は「より良いものをより安く」のワナにはまってしまうのか。ワナにはまると結果的に、独自開発力と営業力という、企業の「牙」を失うことになる。若手ビジネスパーソンにとっては耳の痛いことかもしれないが、今の時代、大きな教訓になるだろう。

白い紙に図面の描けない設計開発部

 今から20年ほど前、筆者は関西のある大手家電メーカーの協力企業を訪れて、社長に話を聞いた。まず、森閑とする工場の様子に驚いた。

 「いま、週休4日制にしています。仕事がないのです。当初は工場内やその周辺の掃除などを従業員にさせて…

この記事は有料記事です。

残り1760文字(全文2016文字)

   

ご登録日から1カ月間は100円

いますぐ登録して続きを読む

または

登録済みの方はこちら

中村智彦

神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、TBS系「坂上&指原のつぶれない店」にも出演。