
人間が生きていくよりどころとは何だろう。家族だろうか。仕事だろうか。民族や国を挙げる人も世界にはいるだろう。イデオロギーや宗教だという人もいることだろう。
人のアイデンティティーをどこに求めればいいのか。直木賞を受賞した東山彰良(ひがしやま・あきら)の長編小説「流(りゅう)」(講談社)を読みながら、何度もそんなことを考えた。時代の流れに翻弄(ほんろう)されながらも、矜持(きょうじ)を持ちながら、国境を越えて生きる人々の姿が生き生きと描かれていたからだ。
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