ビジネスマンの投資術

米雇用統計を練習材料に、市場反応を予測してみる

広木隆・マネックス証券チーフ・ストラテジスト
  • 文字
  • 印刷

 前回は、株価が「上がるか、下がるか」だけでなく、上がった場合のプラスのリターンと、下がった場合のマイナスのリターンを上昇・下落それぞれの確率に掛け合わせた「期待値」というものをベースに投資判断を行うプロの思考法を紹介した。

 そして「少しずつでも、こうした思考法ができるように練習していってほしい」と結んだが、今回は、実際にどういうケースで練習を積むことが可能かについて述べよう。

 格好の練習材料は米国の雇用統計を受けたマーケットの反応を占うことである。米国の雇用統計といえば世界中のエコノミストや市場関係者が注目する統計のなかで最も重要な指標である。

 市場が注目するNFP(ノンファーム・ペイロール:非農業部門雇用者数)の前月比というデータはブレが大きい。おおもとの非農業部門雇用者数の原数値は、1億数千万人という、莫大(ばくだい)なケタの数である。それが前月比20万人増えたの減ったの言っても、0.1%という比率。ましてや、「25万人の予想だったが20万人を下回った」などというのは誤差の範囲でしかない。NFPが強い数字になるか弱い数字になるかを予…

この記事は有料記事です。

残り1659文字(全文2135文字)

広木隆

マネックス証券チーフ・ストラテジスト

1963年、東京都生まれ。上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問、外資系運用会社などの運用機関でファンドマネジャーを歴任。2010年から現職。経験と知識に基づいた金融市場の分析を行う。著書に「勝てるROE投資術」(日本経済新聞出版社)など。マネックス証券ウェブサイトで、最新ストラテジーレポートが閲覧できる。http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G903/strategy/index.htm