海外特派員リポート

がん患者に寄り添う英国の「マギーズセンター」とは

坂井隆之・毎日新聞経済部副部長(元ロンドン特派員)
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病院敷地の植栽に仕切られた一角に建つマギーズセンター。暖かいオレンジ色の外観が目をひく=ロンドン市内で坂井隆之撮影
病院敷地の植栽に仕切られた一角に建つマギーズセンター。暖かいオレンジ色の外観が目をひく=ロンドン市内で坂井隆之撮影

 病院で「がん」と診断された時、落ち着いて考え、行動できる人はそう多くはないだろう。どうしていいかわからず、混乱するのが普通ではなかろうか。そんながん患者やその家族らの相談に乗り、「自分らしく生きる」ことを支援する機関が、英国にある。「マギーズセンター」という施設である。

患者だけでなく、家族や友人からの相談も

 全英の15カ所、主に地域の拠点病院の敷地にある。運営は全額寄付で賄われ、スタッフはすべて有給のプロフェッショナルだ。がん患者だけでなく、家族、友人ががん、という人でも全て無料で利用できる。予約無しでふらりと訪ねてもいい。知識や経験豊かなスタッフが、さまざまな相談に乗ってくれる。

 8月中旬、ロンドン西部・ハマースミスにあるセンターを訪ねた。病院の敷地の一角が植栽で仕切られ、無機質な病院の建物が見えないよう工夫されている。外壁は暖かいオレンジ色で、美術館のようだ。吹き抜けの屋内は自然光が差し込み、明るく落ち着いた雰囲気である。大きなキッチンがあり、人々がマグカップ片手に穏やかに談笑していた。

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坂井隆之

毎日新聞経済部副部長(元ロンドン特派員)

1972年、京都市生まれ。広島大学大学院修了。98年毎日新聞社入社。千葉支局を経て、2003年から経済部で日銀、金融庁、財務省などを担当。12年~16年、欧州総局(ロンドン)特派員として、欧州、中東、ロシア、アフリカの経済ニュースをカバーした。共著に「AIが変えるお金の未来」(文春新書)など。