消費者に刺さるモノづくり

悪質なフォルクスワーゲン不正 背景に世界制覇の野望

永井隆・ジャーナリスト
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 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が、ディーゼルエンジン車に搭載した違法ソフトで、米国で排ガス規制を不正に逃れていた問題が発覚した。不正に関連する車が世界で約1100万台に達する大スキャンダルに発展している。

 業界関係者から、「不正の背景に、急拡大を続けてきたフォルクスワーゲンの世界制覇への野望があった」との声も出ている。フォルクスワーゲンに何が起きていたのか。深層を緊急報告する。

 フォルクスワーゲンはここ数年、中国や米国で巨額の投資を行い、生産能力を急拡大させてきた。高級車や商用車のブランドも次々に傘下に収めた。その結果、2014年に年間新車販売1000万台を超え、15年にはトヨタ自動車を抜いて世界首位に立つことが確実視されていた。

 急拡大を進めてきたのが、23日に引責辞任したウィンターコルン会長兼最高経営責任者だ。同氏は技術者出身で、07年の会長就任時に「18年に1000万台」の旗印を掲げ、それを4年前倒しで達成したやり手だ。

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永井隆

ジャーナリスト

1958年群馬県桐生市生まれ。明治大学卒。東京タイムズ記者を経て、92年にフリージャーナリストとして独立。「サントリー対キリン」(日本経済新聞出版社)など著書多数。