「この人、この土地」だから生み出せる一品

五島列島の伝統かまぼこ、ふんわり「ばらもん揚げ」

小高朋子・旅食ライター・カメラマン
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浜口水産のばらもん揚げ(黒・白)=小高朋子撮影
浜口水産のばらもん揚げ(黒・白)=小高朋子撮影

 魚の香ばしさとやさしい甘さが口に広がる。ばらもん揚げ(黒・白、各149円〜税別)は、ほどよい弾力とふんわりとした口当たりが絶妙なかまぼこだ。魚本来の力強い味と、脂の甘みを感じることのできるこの一品は、長崎県五島市でかまぼこを作り続けて70年余り、浜口水産の看板商品である。

すり身だけで作る昔ながらの「無でんぷん製法」

 浜口水産は、4代続く練り物製造販売業者だ。五島列島近海で取れる天然の魚にこだわり、保存料や合成着色料は使わない。魚本来のおいしさを伝えるため、塩・砂糖・だしなどの調味料は必要最小限に抑えている。特にこだわりの商品は、魚のすり身だけで作る昔ながらの「無でんぷん製法」で作っている。

 一般的に練り物製造販売業者は、すり身業者からすり身を仕入れる。すり身業者の「純粋なすり身」は、骨や皮、劣化の原因になる血や脂が取り除かれており、保存に適している。その代わり、魚本来のうまみを逃しているため、加工時に魚介エキスやうま味調味料を添加して味を調整しなければならない。

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小高朋子

旅食ライター・カメラマン

1982年、神奈川県生まれ。アパレル業界、映像製作会社を経て、フリーランスに。持続可能なモノづくりの可能性を求めて各地を巡り、地域の食文化、工芸品、産業などを取材し、写真、映像も用いてその魅力を紹介している。現在、農業者向けのビジネススクール(オンラインアグリビジネススクール)にかかわり、各地の農業現場の取材を担当。旅と、おいしい食べものと日本酒が何よりも好き。