街の文化漂う 秘蔵の宿 フォロー

クルーズ気分 神戸メリケンパークオリエンタルホテル

稲葉なおと・紀行作家、一級建築士

素泊まり8240円(税込み)〜

 対岸でブラスバンドが奏でるスイングジャズを耳にしながら、海から注がれる心地よい風を頬に感じていた。風の向きによって音量が揺れている。

 バルコニーに置かれた椅子で目をつぶっていると、どこか異国の港街を訪れたような気がした。

 神戸港に建つホテルであることは知っていた。大型客船の乗り降りに使われる、専用ターミナルもホテルと同じ建物内にある。

 だが、客室へと案内され窓を開けた途端、流れ込んだ風の心地よさに、あらためて“海沿い”を実感した。シングル客室なのに、バルコニーがあるお陰で十分な広さを感じつつ、胸は一気にリゾート気分で満たされていく。

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紀行作家、一級建築士

1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)