
素泊まり7200円(税込み)〜
商店が並ぶ幹線道路から、どんどん住宅地の奥へと導かれていく。自転車が2台すれ違えるかどうかというような路(みち)。住民しか知らない、抜け道を歩いているようだ。
東京メトロ千代田線・根津駅から徒歩3分。スマートフォンが示す、ホテルへと向かう経路を歩みながら、こころが露地にすうっと吸い込まれて行くような、不思議な気分に浸っていた。
ホテルに足を踏み入れると、フロントに立つのは、青い目の若い女性だった。こころの切り替えが追いつかずに一瞬戸惑う。彼女が、こちらの動揺はお見通しというような笑顔で、チェックインですか?と流暢(りゅうちょう)な日本語で訊ねたので、互いに笑みを交わしてしまった。
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紀行作家、一級建築士
1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)
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