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安倍政権の「新三本の矢」は年金不安を取り除けるか

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事
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「新三本の矢」を披露する安倍晋三首相=自民党本部で2015年9月24日、猪飼健史撮影
「新三本の矢」を披露する安倍晋三首相=自民党本部で2015年9月24日、猪飼健史撮影

 日本経済の再生に向けて、安倍総理は新たな三本の矢を打ち出した。その内容は、国内総生産(GDP)600兆円の達成を目標とした強い経済、下落する出生率を反転させるための子育て支援の拡充、そして高齢者を対象とする新たな社会保障プログラムの提供である。

 「第三の矢」として社会保障を選んだ点に、総理の世論に対する配慮がうかがえる。最近の世論調査によれば、国民は景気以上に、社会保障こそ日本が直面する最も重大な課題だと考えている。10月7日の内閣改造において、総理は出生率アップと高齢者及び育児への支援強化を担わせるべく、1億総活躍担当相に加藤勝信前官房副長官を任命した。

 もっとも世論調査の結果は、介護など急を要する分野における財政支出拡大への期待もさることながら、社会…

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平野英治

メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。