社会・カルチャーベストセラーを歩く

ウエルベックが描く「自由」と「服従」の背中合わせ

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 フランスの現代小説に疎い私が、ミシェル・ウエルベック「服従」(大塚桃訳、河出書房新社)を読んだのは、評判に気をひかれたからだった。舞台は2022年のフランス。初めてイスラム政党が政権を握るという物語だ。

 ウエルベックは1957年生まれ。ベストセラーになった作品もあり、ゴンクール賞(フランスの文学賞)も受賞している。ヨーロッパ文学に興味のある人なら、新作に注目する作家の一人だろう。今作も大胆なストーリーで注目を集めている。

 かなり面白い小説だった。かねて私は、小説が得意とする対象は少なくても四つあると思っている。

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重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。

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