街の文化漂う 秘蔵の宿 フォロー

本格スパ・トリートメントと食 バリタワー大阪天王寺

稲葉なおと・紀行作家、一級建築士

素泊まり4400円(税込み、以下同)〜

 もう何度目だろう。彼女の手のひらから伝わってくる感触に、深く息を吸いこみ、二の腕には鳥肌がたっていた。彼女の体温でオイルが気化され、花の香りが漂う部屋。始まってまだ数分しかたっていないのに、これほど何度も心地よさを実感するとは……。

 インテリアも、スタッフのユニホームも、館内に流れる音楽も、バリ風のホテルだ。

 バリのホテルといえば、その魅力のひとつがスパのトリートメント。なので、試しにとオーダーしたところ、アジアやヨーロッパの一流ホテルで受けるサービスに匹敵するほどの内容に、内心驚かされていた。

この記事は有料記事です。

残り1531文字(全文1801文字)

紀行作家、一級建築士

1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)