
働く母親の負担を軽減するために、地域の高齢者が活躍しています。今回はその現状を報告します。
日本の男性の家事時間は先進国で最低水準
「2011年働く女性の実情」(厚生労働省)によれば、6歳未満の子どもを持つ共働きの親が育児や家事に費やす時間は、夫が1日約1時間、妻は約5時間半。日本の男性が家事・育児をする時間は、先進諸国の中でも最低水準です。
その主な理由は長時間労働です。また、「育児は女性」という根強い性別役割分業意識も影響しています。さらに、公的な育児支援が限られていることもその要因でしょう。日本の家族・子ども向け公的支出は先進国のなかで最も低水準。政府は、私的領域=家族=に育児をまかせきりのまま、女性を「男並み」に働かせようとしていると、しばしば批判されています。
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藤田結子
明治大商学部教授
東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。