高齢化時代の相続税対策

信託口座のお金は自由に使っていいのか

広田龍介・税理士
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家族信託(3)

 資産を持つ高齢者は、その管理を配偶者、つまり夫ないしは妻に任せていることが多い。子供たちを信用しないわけではないが、すべてを任せられるのは、やはり長年一緒に苦労した配偶者なのだろう。

 健康なうちはそれでもよい。しかし夫婦は共に老い、頭も体も衰える。

家族信託では財産の名義が受託者に移る

 東京都内のAさん(83)は、駅から徒歩5分の便利な場所に自宅・賃貸併用マンションを持っている。いつも玄関をきれいに掃除し、植栽も毎日自分で手入れしていた。ところがある日、庭の手入れ中に転んで、車椅子生活になってしまった。

 50代の長男とその家族は、実家近くで生活している。そこでAさんは、財産管理を長男に「家族信託」で任せることにした。Aさんが委託者、長男が受託者となり、信託契約を結んだのである。

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。