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うまみあふれる郡山「里の放牧豚」の一石三鳥

小高朋子・旅食ライター・カメラマン
インコントラ・ヒラヤマ(郡山)のシェフが放牧豚を使った料理=小高朋子撮影
インコントラ・ヒラヤマ(郡山)のシェフが放牧豚を使った料理=小高朋子撮影

 一見、牛肉と見間違うほど赤身の色が深く、肉質は細やか。時間をかけて火を入れた肉のジューシーな脂にコクがあり、甘みのある香りとほどよい歯ごたえが後をひく。この肉の正体は、福島県郡山市「ふるや農園」が育てる「里の放牧豚」だ。

元気に駆け回る健康な放牧豚

 山あいの斜面に広がる放牧地に立つと、遠くに豚の姿が見えた。こちらの気配に気づくと、ものすごいスピードで駆け寄ってきた。豚がこんなにも速く走るのかと驚く。そして、人懐っこさがある。

 30アール(約3000平方メートル)もある敷地に、たった10頭の豚が放たれていた。一般的な養豚畜舎の面積基準が1頭当たり0.8〜1.2平方メートルと言われるので、ここでは1頭当たり約300倍もの面積を使っていることになる。

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旅食ライター・カメラマン

1982年、神奈川県生まれ。アパレル業界、映像製作会社を経て、フリーランスに。持続可能なモノづくりの可能性を求めて各地を巡り、地域の食文化、工芸品、産業などを取材し、写真、映像も用いてその魅力を紹介している。現在、農業者向けのビジネススクール(オンラインアグリビジネススクール)にかかわり、各地の農業現場の取材を担当。旅と、おいしい食べものと日本酒が何よりも好き。