
男の育児(2)
前回、日本の父親たちが子供と一緒に「遊び」はしても、「世話」をしない傾向があることを紹介しました。そこにはいくつかの理由があることがわかっています。
長時間労働は一つの大きな理由
Aさん(30代男性)は不動産会社で働いています。妻はパートタイム勤務で、子供は4歳。Aさんは毎日残業をしていて、帰宅時間はだいたい夜10時ごろです。そのため、平日は育児・家事はまったくしません。ときどき妻とけんかになりますが、妻は仕方がないとあきらめ気味です。
関西大学の大和礼子教授らの研究によると、父親が育児・家事をする/しない理由は三つに大別できるそうです。まず、父親と母親が置かれている「状況」に左右されます。労働時間が長いことは一つの状況であり、そのほかに「母親の勤務時間が短い」「育児を手伝ってくれる祖父母が近くにいる」などの状況も、父親の育児・家事へのかかわりを減らす要因になります。
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藤田結子
明治大商学部教授
東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。
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